交通事故削減に「子供の描いた絵」が効くワケ トラックのボディに絵をラッピングすると?

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みらい会議の様子(写真:宮田運輸)

毎月1回日曜日、高槻を拠点に愛知から福岡まで、各事業所からの自主参加で開催されるのが「みらい会議」です。時間は、午前9時から午後4時ごろまで。全国から40~60人の人々が集まります。事前に予約すれば参加費無料、社外の人や主婦なども参加できるオープンな会議です。午前中は事業所ごとに業績数値を発表します。

ただ一方通行の報告ではなく、自由に意見が飛び交う建設的な会議です。午後からは約1時間のヨガ教室があります。従業員たちは日頃の運転の疲れを、また自由参加の主婦たちは家事の疲れを癒す貴重な時間です。

「幸せは、感じるものだ」

その後、小さなコツの専門家・野澤卓央(のざわたくお)氏による“心の勉強会”があります。野澤氏は『仕事がうまくいく人の小さなコツ』(PHP研究所)などの著作や多数の企業向け講演などで活躍する実業家、著述家です。事業の失敗で1億円の借金を背負いそれを乗り越えた体験談や心に響いた先人の教えを熱心に講義してくれます。

同社ホームページ掲載の「社長あいさつ」では、この野澤氏の教えに自らの事業経験を重ねた思いを、孔子の言葉に託して語っています。まだ50歳前の社長の言葉としては、なかなかに含蓄のある「あいさつ」です。その原文は、有名な次の一節です。

「子曰わく、之れを知るものは之れを好むものに如かず。之れを好むものは之れを楽しむものに如かず」(『論語』雍也第六の二十)

宮田社長は「之れ」を「幸せ」と読み替え、「幸せについていくら知っていても幸せを感じられなければ意味がありません。幸せをいくら持っていても幸せを感じられなければ意味がありません」と解釈しています。「幸せは、感じるものだ」ということです。

宮田社長とラッピングを施したトラック(写真:宮田運輸)

「人と幸せを分かち合いたい」という宮田社長の熱い思いが伝わってくるメッセージだと思いました。そして「社長のあいさつ」の最後には、「運転士を育てること」の大切さも述べられています。わが国のライフラインを支える物流の主役である運転士を、もっと魅力のある職業に変えていくことが自らの使命だ、と結んでいます。

「社員たちがイキイキと話し合い、みんなの会社という思いで真剣に仕事に向かってくれています」と感謝の念を述べる宮田社長。社内の自由な雰囲気が社員力と会社力を高め、こどもミュージアムプロジェクトの活動を全国に、そしてアジアに向けて発信し続けていくことでしょう。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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