「息子は発達障害」栗原類を伸ばした母の信条 「いい親」でなく「子に最良の選択」が重要
思い悩まず、「必要なこと」「できること」をやる
類が8歳の時、当時在住していたニューヨークで発達障害と診断され、その席上、私自身も典型的なADHDであると告げられました。類には「感覚過敏」「注意力散漫」などの障害がありますが、なかでも「記憶力が弱い」という点が、特に受け入れにくい事実でした。
私自身は、同じ発達障害であるものの、子どもの頃から記憶力がよく、それさえあれば、大人になるまで乗り切れたという成功体験があったからです。
類は小さいころから、繰り返し注意してもすぐに忘れてしまう、何度練習しても身に付かないことが多く、発達障害と診断されるまで、私も「やる気のなさに問題があるのでは」と考えていました。記憶力がよかった私には、類の様子が理解できないところもあったのです。
アメリカで発達障害の説明を受けた時、「こういう障害だから、一生治りません」と言われ、戸惑いましたが、思い悩んでもしかたがないので、できることからやろうと気持ちを切り替えました。
治らない障害なのであれば、生きていくうえでずっと向きあっていかなければいけない。人が1でできることを、類は2倍も3倍も努力をしないといけない。
「努力したのに、結果がついてこなかったとしても、自分はこんなに頑張ったのにと思ってはいけない。2倍3倍努力するのは当たり前と考えて、人より努力できる人になりなさい」と繰り返し伝えました。
そして、せめて親である私は褒めてあげたいと思いました。結果や出来栄えがどうであれ、そのプロセスを認め、本人の努力や工夫に関しては手放しで褒めていました。
私ができることは、類に「覚悟」をさせること、類が楽しく暮らしていける環境を整えてあげることだと思ったのです。
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