メガバンクは「スマホ決済」で泥沼にはまる 「地銀の囲い込み」に成功しても残る課題

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IT業界のスピードは速い。トークンリクエスタ代行サービスも、すぐに厳しい競争にさらされることは十分考えられる。

最新のITを使って、地銀に対して金融関連の代行サービスを提供していくビジネスモデルは、SBIホールディングスなどによってすでに始められている。

ヒト・モノ・カネに限界のある地銀などが、個々に先端技術に対応していくのは難しい。SBIはそれを束ね、ITを駆使した共通の金融サービスのプラットフォ―ムを提供していく戦略を描いている。

SBIは地銀64行などに対して、24時間対応可能な送金システムを構築することを目指す。そこまで来たら、スマホ決済のプラットフォ―ムを提供するビジネスに進出してくるのも、時間の問題かもしれない。三菱UFJ銀行が、この分野でリードを維持するのは簡単ではないだろう。

コストが下がれば、競争が激化するだけ

三菱UFJ銀行がスマホ決済を運営するネット企業に対して新サービスを広く提供していく場合には、それを採用したネット企業には相応のコスト削減効果が生じる。

彼らはそれを原資としてお客へのポイント還元や小売店側の手数料の無料化戦略を進めるかもしれない。

一方、銀行によるスマホ決済システムは、簡単にコストを下げられない事情を抱えている。既存の決済手数料とのバランスに縛られていること、顧客のデータ活用から収益を上げるビジネスが育っていないことなどのためだ。メガバンクとネット企業との闘いは底なし沼の様相を呈している。

木内 登英 野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト

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きうち たかひで / Takahide Kiuchi

1963年生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部を卒業、同年野村総合研究所入社。一貫して経済調査畑を歩む。1990年野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年野村證券に転籍し、2007年経済調査部長。2012年7月~2017年7月、日本銀行政策委員会審議委員。現在、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト。著書に『金融政策の全論点』(東洋経済新報社)、『異次元緩和の真実』(日本経済新聞出版社)。

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