独自マップ!全731「災害拠点病院」はここだ 来るべき災害に備える「医療体制」の最新事情
大ざっぱに言えば、病院の設備や医療スタッフが十分にそろっていて、DMATチームがあり、重症の救急患者の受け入れが可能で、病院の屋上か病院に隣接した場所にヘリポートがある病院、ということだ。2018年4月時点で全国731病院が指定されている(本文冒頭の独自マップを参照)。
情報共有が災害医療の展開を円滑にする
医療機関は災害時、施設の状態、空きベッドの有無、患者受け入れの可否など、あらゆる情報をEMISに速やかに入力する必要がある。医療機能が停止した被災病院から患者が搬送される可能性があるからだ。
だが、それがなかなか徹底されないという。前出の兵庫県災害医療センターの中山伸一センター長はこう話す。
「実際に災害に遭わないと、情報を発信しないのです。せっかくシステムが整備されていても、情報がきちんと発信されなければ役には立たない」
中山センター長は6月、災害医療チームの1人として大阪北部地震に対峙した。大阪北部地震では、阪神・淡路大震災から培ってきた災害医療体制が機能したという。緊急時、EMISによる情報共有がより適切に行われれば、さらに強固な体制が築けるはずだ。中山センター長はこう続ける。
「緊急時に入力なんて、という意見もありますが、それは間違いです。緊急時だからこそ、被災した病院はもちろん被害がなくても、うちは大丈夫ですよ、患者を受け入れられますよ、という情報を発信することで、人的・物的な医療資源の融通や、迅速・的確な患者の搬送などが可能になるのです」
大阪北部地震が起きた時、災害時の医療体制は実際、どう機能したのか。ここからは、厚生労働省「大阪府北部を震源とする地震について」、関西広域連合広域防災局「大阪府北部を震源とする地震の被害と対応状況」に依拠しながら、6月に起きた大阪北部地震を例に見ていこう。
6月18日午前7時58分、大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震が発生した。前出のEMISは、発災直後の午前8時00分から同8時26分までの間に、大阪府では「災害モード」、京都府、兵庫県、和歌山県では「警戒モード」に切り替わった。
各医療機関は速やかに状況を入力し、被災地域での活動および広域での患者搬送などに備えた。医療機関の被害としては、発災直後から複数の病院でエレベーターの停止、天井の部分落下、水漏れ、水槽の破損、職員の不足による外来への影響などの被害が報告されている。
大阪府は厚生労働省を通じ、大阪府、京都府、滋賀県、奈良県へDMATの出動要請を出した。さらに、大阪、京都・滋賀、兵庫、徳島、奈良にある計5機のドクターヘリに対し、出動待機要請が出された。ドクターヘリは災害時、DMATの活動支援に使用することができる。
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