独自マップ!全731「災害拠点病院」はここだ 来るべき災害に備える「医療体制」の最新事情
DMATは滋賀県、京都府、兵庫県から最大時で41隊が出動し、6月18~19日にかけて活動した。拠点本部が設置された大阪大学医学部附属病院、大阪府三島救命救急センターの2カ所を中心に、各避難所などで、傷病者の診療や搬送、調整業務などに従事した。
国立高度専門医療研究センターの1つ、大阪府吹田市にある国立循環器病研究センターでは、病棟の水漏れや非常電源の一時的なダウンが発生した。そのため、重症患者を他の病院に転院させるための移送(転院搬送)が必要となった。
転院搬送では、EMISを介したDMATやドクターヘリでの搬送のほか、日常的に病院間、医師間で構築されている個々のネットワークを利用した搬送も行われた。
同研究センターの医師が、普段から連携している他病院の医師に直接、患者の受け入れを要請した際、その搬送にDMATのドクターヘリが使用された。普段から築いてきたネットワークが非常時に生かされた好例だろう。
医療機関と他組織の連携が患者を救う
出動したDMATは6月末までにすべて撤収し、EMISも6月26~28日に全府県で通常モードに戻っている。前出の中山センター長は、災害医療体制がきちんと機能したことに胸をなで下ろしている。
「常日頃から訓練している基本形で活動することができ、日本赤十字、医師会なども含め、災害時の医療支援体制のスイッチがきっちりと入ったのは、非常に良かったと思います」
こうした医師たちの奮闘があってこそ、災害時でも私たち市民の命が守られる。
災害時の医療体制は、各地で起きる災害に対応しつつ、実際の活動から教訓を得ながら、現在も日々進化し、さまざまな訓練が継続的に行われている。ただ、せっかく整備されたシステムも機能しなければ、絵に描いた餅でしかない。医療機関が警察や消防など各機関と連携し、「縦割り」の弊害を打破してスムーズに機能すれば、多くの患者が救われることだろう。
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