「摸倣する心」を持てば社会で生きやすくなる 社会で生き延びるための「発達障害の仕事術」
あなたが所属する「部族の掟」を知ろう
空気、読めますか。僕は読めません。空気が読めないという症状はどちらかと言えばASDに多い症状だと言いますが、ADHDの診断を受けている僕も「空気が読めない」と言われ続けて生きてきました。そういうわけで、初めて勤めた会社でも空気を読み損なって大失敗しました。
かつて新卒として就職したときは、「そもそも仕事ができない」などの大問題はあったのですが、それに加えて常軌を逸した空気の読めなさを遺憾なく発揮し、新卒としては記録的な速度で職場の嫌われ者になることに成功。見事誰も好意的に接してくれない、必要な情報すら回ってこないという状況に到達しました。本当に早かった。3カ月とかからなかったですね。結果、僕は2年もたずに職場から敗走することになりました。
例えば、僕は新人歓迎会で上司にお酌をせず、ひたすら飲んでいました。料理の取り分けなど一切やりませんでした。そういったささやかな積み重ねが、1日を台なしに、1年を台なしにしました。
職場というのは、言うなればひとつの部族です。このことをまずしっかりと理解してください。そこは外部と隔絶された独自のカルチャーが育まれる場所です。そして、そこで働く人の多くはそのカルチャーにもはや疑いを持っていません。あるいは、疑いを持つこと自体がタブーとされていることすらあります。それはもう正しいとか間違っているみたいな概念を超えて、ひとつの「トライブ(部族)」のあり方そのものなんです。言うまでもありませんが、それは排他的な力を持ちます。部族の掟に従わない者は仲間ではない、そのような力が働きます。