「摸倣する心」を持てば社会で生きやすくなる 社会で生き延びるための「発達障害の仕事術」

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これまで僕は自分の会社も含めて金融機関から飲食店、不動産屋まで、それなりの数の職場を見てきましたが、職場におけるカルチャーというのは本当に千差万別です。コモンセンスも、あるいは価値観も、仕事の進め方も何もかもが全く別物です。例えば、ハンコの押し方ひとつ取ってもそうです。ある会社では、「上司に渡す書類には完璧に押されたハンコが必要である」と信仰されています。そのハンコは、少しだけ上司の押す場所に向かって傾いているのが望ましい(おじぎなどの概念が導入されます)とされていたりします。

また、ある会社ではハンコなんてものは赤いシミがあればそれで十分とされていたりもします。判読不能なハンコを押された書類が何の問題もなく流通している職場も、僕は見たことがあります。

「空気を読む」とは、そのような部族の中に流れるカルチャーをいち早く読み取り、順応する能力です。僕にはこの能力が完全に欠けていました。欠けているだけならまだしも、そもそも順応する気がなかった。僕の失敗の一番致命的なところはそこだと思います。

仕事というのは、テキストと向かい合って情報をインプットするような作業とは全く別物です。例外はあるでしょうが、現場の日常業務というのは「誰かに教えてもらう」もしくは「見て盗む」のような習得方法が往々にして必要になります。

そして、業務習得や遂行の最高の潤滑油は「好意」です。業務上関わる多くの人間に好意を持たれることにさえ成功していれば、ハードルは一気に低くなります。もちもちろん、物事には限度があります。絶対に受け入れられない風習というものも存在し得るでしょう。僕も、今もう一度AKBを踊れと言われたらかなり悩み込むと思います。

世の中には「浜辺で全裸で踊り狂う」とか「致死的な量の酒を飲む」みたいな、そりゃさすがに尊重できねえわ、としか言いようのない文化を持った部族も存在します。給与や社会的な評価などを天秤にかけ、合わなければ即座に逃走しましょう

また、部族の風習が法的に問題のある行為だったりすることもたまにあると思います。法治国家の住人として成すべきことを成しましょう。しかし、受け入れられるものはとりあえず尊重しましょう。それだけで、本当に多くのものが変わります。

一生懸命日本語を喋ろうとする外国人が好ましく映るように、その姿勢は伝わるものだと思います。まずは受け入れ、そして模倣しましょう。そして、敬意を示しましょう。生き残るために。やっていきましょう。

なぜあなたは 「休む」のが下手なのか?

人生において最も重要なスケジュールとは何でしょう。我々の人生に絶対に欠かすことのできないタスク。生きるために最も必要なもの。手帳のスケジュール欄に一番先に書き込んで確保すべき予定は何なのか。

これはもう本当に明確で、「休養」だと思います。休まなければ人は死にます。そして、「休む」というタスクの実行はあらゆるタスクの中で最も容易だと言えます。「何もしない」という最優先タスクから予定を考えていくことが一番重要、という結論に僕は達しました。というのも、我々は往々にして休養を取るのが下手だからです。

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