そもそもアメリカの財政は債務削減条項を強行したり、それほど財政圧縮するほど悪いのか? ということが問われねばなりません。
「双子の赤字」などといった見出しに惑わされるな
日本の皆様は「双子の赤字」などという新聞の見出しに惑わされ、アメリカの財政は破たん寸前だ、とか思いこんでいる方が大変多いのですが、実情は全く違うのですよ。
そもそもアメリカは2000年当初はGDP比で2.4%の黒字を記録していたのです。これは日本でも参考になりますが、別に消費税を導入したわけでも、所得増税をしたわけでもないのです。単に経済成長が進んで、インテル、マイクロソフトに代表されるIT企業の上場益、法人税でものの見事に黒字に転換していたわけです。増税で財政が元に戻らない、という良い証拠がここにあるのですが、日本ではこのことに触れたがらない風潮がありますね。
その後、ブッシュ政権のイラク戦争がらみの無駄遣いがかさんで、GDPの10%近くの財政赤字に転落していくのです。数字自体はたいしたことありませんが、プラスからマイナスへの短期間での急激な変化がアメリカ財政に対する疑問符をつける結果となり、共和党の財政削減条項要求を引き起こすきっかけとなるわけですが、そもそも論でいえば、数字自体が極端に酷いわけではありません。
そして現在はどうなっているかというと、アメリカの財政状況はかなりのペースで回復しており、本年もこのままいけばGDP比でせいぜい4%程度の赤字に収まる見込みです。さらに言うと、シェール革命でエネルギーコストが劇的に下がっており、その分の企業収益による法人税の増加で、このままいっても、ここ2~3年のうちにGDPの2~3%の赤字に縮小する見込みなのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら