トヨタブランドの最高級車「センチュリー」が21年ぶりにモデルチェンジしてから2カ月が経過した。ほぼ同時期に新型に切り替わった「クラウン」や「カローラ」のような受注実績の発表はないものの、すでに東京都内でショーファー(専属運転手)らしき人が運転する新型を複数回見かけており、順調な滑り出しであると想像できる。
この新型センチュリー、初公開の場は昨年秋の第45回東京モーターショーだった。このときは参考出品という扱いだったが、広いトヨタブースの中央付近に置かれ、来場者の注目度も高かった記憶がある。
日本人が垂直・水平のデザインに親しみを持つのは?
理由を自分なりに推測すると、今年発表された軽自動車の新型車、具体的には新型センチュリーと同月に登場したダイハツ工業「ミラトコット」や、翌月20年ぶりのモデルチェンジを果たしたスズキ「ジムニー」と「ジムニーシエラ」、ホンダの商用車「N-VAN」と同じように、四角さが効いていると思っている。
四角いクルマに好感を寄せる人が多い理由については、「4代目ジムニーの『四角さ』が何とも潔い理由」(2018年7月10日配信)でも触れたと思うが、やはり丸いクルマが増えたことへの反動は確実にあるだろう。また多くの人が長い間木造住宅で暮らしてきた日本人は、欧米人より水平・垂直のデザインに親しみを持つ人が多いことも指摘した。
そもそも日本の乗り物は昔から箱型が多かった。今から200年ほど前、欧州人たちが移動に馬車を使っていたころ、日本は人間が担ぐ駕籠(かご)が主役だった。両者のデザインを比べると、フェンダーなどに優雅なカーブを取り入れていた馬車に対し、駕籠は担ぎ棒を含めて垂直水平で構成されたものが多かった。
しかも日本は欧米に比べると自動車での移動距離は短いし、狭い家に住む人が多く、道路も狭い。これが乗り降りしやすく、車内が広々としていて、車体の見切りがしやすい箱型のミニバンや軽自動車のハイトワゴンが人気となる要因ではないかと考えている。
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