新型センチュリーの造形と走りは何が凄いか トヨタの最高級車は運転もすこぶる楽しい

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センチュリーに話を戻せば、今から約半世紀前に登場した初代、21年前に最初のモデルチェンジによって生まれた2代目、そして今回の3代目と、デザインにブレがない。顔つき、横からの眺め、後ろ姿と、どこから見てもセンチュリー以外の何物でもないと、クルマに詳しい人の多くは思うだろう。

日本メーカーの乗用車の多くが、移り気な日本人の感情を反映するように、モデルチェンジのたびに形を変えるのとは対照的だ。しかしトヨタでも、「ハイエース」「ハイラックス」「ランドクルーザー70」などの商用車は、モデルチェンジを繰り返してもイメージが変わらない車種が多い。活躍の場が絞り込まれていて、プロドライバーの要求に応えるクルマづくりが、伝統の継承につながっているのかもしれない。

それでいて新型センチュリーには新しい部分もある。まず真横から見たプロポーションでは、リアドア後方のCピラーが従来よりも太くなった。そのため旧型よりキャビンが長く、後ろ寄りに位置しているような気がする。

その結果、一部の自動車業界関係者からは、「ロールス・ロイスやベントレーに近づいた」という評価を受けるようになった。ただし、2つのブランドは一貫してそのような造形を持っていたわけではなく、先代センチュリーの翌年に発表された、両車の基本設計を共通とした最後の車種(ロールス・ロイス・シルバーセラフ/ベントレー・アルナージ)で、同様の造形を取り入れていることがわかる。

「几帳面」という言葉の語源

それでいて細部には新しいディテールを盛り込んでいる。たとえばボディサイドのキャラクターラインには、並んで走る2本の線を角として研ぎ出し、その隙間の面を1本の線として際立たせることで高い格調を与える、平安時代の屏障具(へいしょうぐ)の柱にあしらわれた面処理の技法を採用した。

この技法、「几帳面」と呼ばれる。われわれが日頃なにげなく使う几帳面という言葉の語源はここにあったようだ。日本の木造建築の伝統技法をカーデザインに取り込むという英断に感心した。

平安時代の屏障具の柱にあしらわれた面処理の技法である「几帳面」を採用している(写真:トヨタグローバルニュースルーム)
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