小学校で「道徳の授業」はどう進められるのか 授業は先生と子どもが一緒に考え学ぶ時間だ

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道徳授業の基盤は学級経営である。学級経営とは、教育目標の実現に向け、クラスを効果的に組織し、運営することである。

担任との関係、学級の友達同士との関係が十分に築かれていないと、子どもたち同士が本音で話し合えない。担任は、一人ひとりの感じ方や考え方をのびのびと表現できる雰囲気作りを、日常の学級経営の中で意識している。

黒板に何を書いて子どもたちにどう説明するのか、授業前から検討を重ねてノートに記す(筆者撮影)

しかし、昨今の教員現場は、学校事務や保護者対応、行事や授業の準備などに追われて多忙なうえ、組織として学校全体が回っていないと指摘されている。そのような状況になると、道徳授業の準備をすること自体も難しくなる。また、道徳科の年間35時間(1年生は34時間)の完全実施に伴い、どのように道徳授業を行ってよいかがわからない教員もいる。

だからこそ、学校として教員全員で足元を固め、道徳科に向かって互いに授業を見合ったり、教材研究を行ったりしながら授業力を高めていくことが必要である。時間がないからこそ、少しでもみんなでできることは共通で取り組む。

若手の先生が増えているからこそ、まずは学級経営をしっかりと行うことを大切にし、子どもたちとよりよい関係づくりができるよう学校全体で環境を整えていく。

教師と子どもが学び合うもの

小学校の現場は、日々予想以上に多くのことが求められている。しかし、今はそれに一つずつ取り組んでいくしかない。それが今の小学校現場である。

子どもたちの人生は、これからである。だからこそ、自分の力で判断をし、よりよく生きる力を身に付けることが必要である。道徳の授業は、教師が教えるのではなく教師も子どもとともに考え学ぶ時間である。

道徳科は、大人にとっても、子どもにとっても、これからのよりよい人生につながる教科であってほしい。

幸阪 芽吹 東京都中野区立塔山小学校指導教諭

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こうさか めぶき / Mebuki Kosaka

2003年、東京都青梅市の小学校教諭に。その後、東京都練馬区の小学校を経て、現在の中野区立塔山小学校。指導教諭3年目、現在4年生の学級担任。校内では研究主任を務め、道徳の教科化に向けて校内の共通理解を図りながら、授業と評価の一体化を目指して研究を進めている。『NHK for School 道徳』の番組企画に協力するほか、『授業力&学級経営力』(明治図書)で連載を担当。

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