小学校で「道徳の授業」はどう進められるのか 授業は先生と子どもが一緒に考え学ぶ時間だ

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そして、「互いに考えが異なったときに大切なことは何か」をさらに考える。

子どもたちは「相手の気持ちを考えながら自分の気持ちを伝えることが大切」「まずは、謝って今後どうしたらよいかを話し合おうとする気持ちが必要」「柔らかい心をもって相手と接せる」など、一人ひとりが感じた答えを全体に伝える。

教師はそれらを受け止めながら板書をする。子どもたちは、その板書を見て、友達の考えを聞きながら、自分なりの「納得解」(自分が納得でき、周囲の納得も得られる解)を見付ける。

学級で1つの答えを出すことはしない。物事の受け止め方や考え方は、一人ひとり違う。だからこそ、自分なりの納得解を見付け、これからの生き方へとつなげていくことが大切なのである。

最後に、自分の今までを振り返ったり、今日の授業で感じたり考えたりしたことを書いたり伝えたりする。こうして、1時間の道徳授業が終わる。

いずれ社会へ出る子どものために

1時間の授業の流れをあらかじめ想定して授業に臨む(筆者撮影)

「親切、思いやり」も同様である。

「相手に優しくすることは大切」ということは誰もが分かっている。しかし、「そう簡単にはできないときもある」という一面もある。その中で、どのような状況においても親切にするとはどういうことなのか。

果たして、どのような状況でも誰にでも親切にできるのか。何が支えとなるのか。さらに「親切、思いやり」について話し合う。そして、自分なりの「納得解」を見付ける。

今後、子どもたちが社会に出たとき、一方向から物事をとらえるのではなく、いろいろな角度から物事をとらえ、考える力は必要である。そのために、道徳の授業では、多様な感じ方や考え方を引き出すことが意識されている。

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