父親のDVを見続けた息子もDVをやらかすワケ

モラハラは世代間で連鎖しやすい

ドメスティック・バイオレンスの1つである夫婦間の心理的暴力は、肉体的な暴力よりはマシだろうと想像する方もおられるかもしれません。ところで私は、私が実際知りえた、または当相談室で知ったDV加害者たちに共通するものを見るかぎり、肉体への暴力と変わらない、まさに言葉で人を殺す行為以外の何物でもない犯罪性を、そこに感じます。

結婚によって、より幸せになろうと誓い合った人が、まさにパートナーのすること成すことにケチをつけ、暴言・暴力でしか対応できないその性格の悪さを想像してください。相手の出方によっては平静になるというものではなくて、平穏な家庭を築くビジョンも能力も意思もない、ある意味で人間性が壊れた者の所業なのです。つまりこのような人は、一方の努力や献身でよくなるレベルではないという覚悟が必要です。

普通の家庭なら問題にならないことに因縁をつけ、「お前が悪いから、俺が怒るのだ」「お前のせいで、仕事に専念できない(または出世できない)」「頼むから死んでくれ」などと、二言目には激高するのです。聞く耳を持たず、自分がいちばん正しいと思っていることやエスカレートしていくことでも共通しています。

私の友人はモラハラ夫と20年暮らしてノイローゼになって離婚し、別の人と再婚しました。前の結婚のときは、周囲の人まで「いい加減、夫を怒らせるな」と彼女を責め、今から思えば自分もマインドコントロールにかかっていたと言います。彼女は、前夫なら自分を罵倒したであろう今の生活のさまざまな場面で、ニコニコ笑っている再婚相手に最初は戸惑い、今は感激の連続なのだそうです。やはり前夫は、誰と結婚しても関係を破壊するしか知らない、癖の悪い人間だったと確信したとか。

アラ探しか因縁をつけて激高するしか能のない人との暮らしに、救いや希望はあるでしょうか?

モラハラは世代間で連鎖しやすい

子は親の鏡と言われるように、親の言動や思考方式・価値観は、良いことも悪いことも、子どもに影響を与えます。もちろん、反面教師という言葉もあるくらいですから、父親のDVを見て育った子どもでも、必ずしも親を真似るとは限りません。しかしまねたり遺伝したように同じ行為をする場合も少なくないのです。

普通の家庭で育った別の友人の友子(仮名)は、結婚して同居した姑と夫の「短気さ」に、まず驚いたそうです。実家では問題にならなかった何でもないことに、2人は世界一悪い嫁を迎えたように、叱責したそうです。この2人は関係する親戚・知人もみな罵倒する対象で、互いに親子げんかもしじゅうやり、トラブルが絶えなかったそうです。

友子はすぐに、2人は「短気」なのではなくて、「性格が悪い」ことに気づきました。誰に対しても上から目線で悪意を抱き、「仲の良い家族」は彼らの辞書になく、一緒にいて幸せになれないことは悟ったそうです。

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