若手に「法律違反」を指摘されたときの対処法 「それって違法じゃないんですか?」
それは、「法治」ではなく「人治」だとアンフェアだと思うということです。ルールのない中で、権限を持っている人が勝手にいろいろ判断すること自体に嫌悪感を抱くようです。似たような例を挙げると、何かを発注する際に広くあまねく公募して、入札を受け入れて、あらかじめ定められた基準に基づいて発注先を決めないと、アンフェアに思う人が多い。
無論、そこからリベートなどをもらっていたりすれば、仲間や経営、株主に対する裏切りであり、違法です。また、上場会社は公共性が高いため、公共事業に近いレベルのフェアさ(?)が求められることもよくあります。しかし、基本的には、公共事業であれば大きい案件の随意契約は問題でも、民間企業が信頼できる知人の会社に入札なしに指名で発注してもあまり問題はありません。
しかし、若者は、あまりいい気はしないようです。ほかにも、先輩後輩のネットワークで採用活動をすることに不公平感を持ったり、上司に気に入られた人が早い昇進をすることにも(好印象をもたらしたことが、正当な成果によるものであっても)ブラックな感情を持ったりします。若者は「人治国家」は嫌なのです。
社会は民主主義だが、会社はそうでないことを知らない
さて、若者の正義感について、例を挙げながらお話してきましたが、冒頭でも申し上げたように、若者のそういう感覚を否定するつもりはありません。しかし、これはイデオロギーとかではなく事実として申し上げますが、「社会は民主主義だが、会社はそうではない」ということです。
会社は、株主から見れば民主主義的かもしれませんが、社員は会社に方向性を決める選挙に参加する一票を持っていないので、そういう点では社員には会社は民主主義とは思えないでしょう。株主から信任を得てしまえば、次の選挙(株主総会)までは、経営者は社員から見ればある意味独裁者です(無論、本当に独裁的に振る舞ったら、今時の組織運営はなかなかうまくはいかないでしょうが)。
学生まではこの世の中は民主主義であると習ってきたので、会社が今のところの仕組みでは残念ながらそうでないことに最初は気づかないのでしょう。
個別具体的な案件では、それぞれに正義感の根拠があるのだと思いますが、多くの案件の裏には、このように会社というもののあり様、物事の決まり方を理解できていないために、義憤を感じることが多いのではないかと私は思います。
それをちゃんと説明せずに押さえつけていてはせっかくの正義感の持つエネルギーまで潰してしまいますので、ぜひきちんとこの辺りを説明してあげて欲しいと思います。
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
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