ソフトバンク孫社長「AI群戦略」独演会の全容

無風の決算発表は「フリートーク」に終始

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は8月6日の決算会見で、有望企業に出資し、グループ内で連携を強める「群戦略」にAIを冠した「AI群戦略」を強調した(撮影:梅谷秀司)

孫正義会長兼社長は何を語るのか――。四半期ごとに注目されるソフトバンクグループ(SBG)の決算会見。だが8月6日に行われた2018年4~6月期(2019年3月期第1四半期)の決算発表は、直近で大きな発表や動きがなかったせいか、静かに終わった。

英アームの買収、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の設立、携帯事業子会社ソフトバンクの上場計画発表、米TモバイルとSBG傘下の米スプリントの合併合意。この2年ほどの間だけでも決算会見のたびに大きな話題を振りまいてきたが、今回は目立ったものはなかった。会見での質疑応答も、「米中の貿易摩擦」「後継者問題」「スマホ決済」「携帯電話契約の2年縛り・iPhone販売の4年縛り」など、さまざまなテーマに分散した。

この日SBGが発表した決算は、売上高が前年同期比4%増の2兆2727億円、本業のもうけを示す営業利益は約5割増の7149億円、純利益は前年同期の約57倍の3136億円だった。主力のソフトバンク国内通信、米スプリント、ヤフーといった事業は合計すると「大きな変わりはない」(孫社長)。一方で全体を引っ張ったのは、前年同期比で約2.3倍の営業利益2399億円を稼いだSVFだった。

ビジョンファンドと「群戦略」の関係

「ビジョンファンドの影響が日に日に高まっている」。孫社長はそう話し、決算会見を始めた。大きな話題がない中、孫社長が決算会見恒例となった“独演会”のテーマに選んだのも、このSVFだった。「なぜSVFを設立したのか」。孫社長の1時間以上にわたるプレゼンテーションは、この説明に終始した。

ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)は世界各国、あらゆる業界の企業に投資(撮影:梅谷秀司)

ここ最近の孫社長がしきりに繰り返すのが「群戦略」という言葉だ。SBGが世界のさまざまな業界のトップ企業や有望企業の株式を20~30%取得し、グループで連携することで長期に渡って繁栄するという考えのことである。さらに7月19日にSBGが開いた企業向けイベントの基調講演では、AI(人工知能)の重要性を強調。群戦略にAIを冠し、「AI群戦略」なる構想を明かしていた。

今回の決算会見でもSVFの重要性の大前提として説いたのが、AIの可能性だった。孫社長は「人類史上最大の革命だ」「AIを制する者が未来を制する」と、7月の講演で語った内容を繰り返した。そのうえで、「SBGは単なる投資会社に変わったのか、と尋ねられることがあるが、そのつもりはまったくない。あくまで情報革命を継続している」と述べた。

SVFの投資先は不動産、建設、医療、Eコマース、ロボットなど多岐に渡るが、「思い付きでバラバラに出資しているように見えるかもしれないが、一貫していることがひとつだけある。それは、AIでそれぞれの産業を再定義しようということだ」と述べた。

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