ソフトバンク、米通信「経営権」手放した理由

孫正義氏は「携帯事業」への興味を失ったのか

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は昨年11月、米携帯子会社のスプリントと米TモバイルUSとの合併が破談となった後も「経営権維持」が絶対条件だと話していた(撮影:尾形文繁)

孫正義氏は今、何を思うのか。ここ数年の”懸案”が一応の着地点を見つけた。

ソフトバンクグループは4月30日、傘下で米携帯電話会社4位のスプリントが同3位のTモバイルUSと合併することで、両社が合意したと発表した。昨年11月には互いが経営権の取得を主張して破談したものの、次世代通信規格「5G」への投資に向け、結局ソフトバンクGが譲歩した形だ。

ソフトバンクGが描いてきた「対等以上の条件での合併」という青写真とは異なるが、投資会社の性格を強める同社にとってプラスだという市場関係者の声も出ている。

合併後の新会社の名前は「TモバイルUS」で、企業価値は1460億ドル(15.9兆円)と見積もっている。持ち株比率はソフトバンクGの27.4%に対し、TモバイルUSの親会社のドイツテレコムが41.7%を握り、経営権を保持する。その他は一般株主が持つ。スプリントはこれまでソフトバンクGの子会社だったが、合併後の新会社は連結対象からは外れ、持分法適用会社となる。

孫正義氏は心変わりしたのか

「今よりも太くて速い高速通信が実現したときに、その利益を最も享受するのは世界最大市場の米国だ。米国に通信会社を持っていてよかった、(ドイツテレコムに)売らなくてよかった、と心から思える時代が来る」

スプリントとTモバイルUSが合併すれば、米携帯電話会社2強と対抗できる規模となる(編集部撮影)

昨年11月、孫正義社長は合併がいったん頓挫した直後にそう語っていた。本心だったのか、悔し紛れだったのかはわからない。ただ、最低でもイコールパートナーを目指していたがかなわず、交渉打ち切りを宣告したのはソフトバンクG側だった。それほどこだわりがあったにもかかわらず、経営権を譲る道を選択したのはなぜか。5月9日に予定されている同社の決算会見で、孫社長が何を語るのかが注目される。

現在の米携帯業界の競争環境を踏まえれば、両社ともに単独での生き残りが難しいのは明らかだった。巨額の設備投資がかかる5G時代の到来が迫る中で、契約者数はTモバイルUSが7000万人、スプリントが5000万人。首位のベライゾン・コミュニケーションズの1億5000万人、2位のAT&Tの1億4000万人には、大きく水をあけられている。統合後の契約者数は、単純計算で2強と遜色のないレベルに近づく。

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