ソフトバンク、驚きの鉱山出資に込めた野望

リチウムイオン電池の原材料めぐる争奪戦

日本の強みを発揮できる半導体と電池に好機が到来している(デザイン:杉山 未記、イラスト:今井ヨージ)

「『まさかあのソフトバンクが?』と、非常にびっくりした」

資源ビジネスに精通する総合商社大手の関係者をあっと言わせた投資をソフトバンクグループが行った。今年4月に同社が発表した、リチウム鉱山開発事業への出資がそれだ。

ソフトバンクは、リチウムの採掘・精錬を行うネマスカ社(本社=カナダ・ケベック州)の発行済み株式の9.9%を、9380万カナダドル(約80億円)で取得した。

出資の見返りとして取締役を1人派遣する。さらにネマスカがこれから開発するリチウム鉱山の年間生産量(3.3万トン以上の見込み)の最大20%を購入する権利を手にした。ソフトバンクが5%以上の株式を保有する限り、この権利は維持される。

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6月25日発売の『週刊東洋経済』は、「ビッグデータ、EVシフトで需要爆発 怒涛の半導体&電池」を特集した。データ流通量の爆発的拡大で市場が大きく伸びている半導体と、車載用を中心に需要が増えているリチウムイオン電池の2業界をクローズアップしている。

活況の波はリチウムイオン電池の原材料にも及んでいる。中でも正極材に使われるリチウム、ニッケル、コバルトの主要3原料は、EV(電気自動車)の普及速度に左右されるとはいえ、今後の需要逼迫が予想されている。

ソフトバンクが確保に動いたリチウムは、コバルトと比べて埋蔵量は豊富だが濃集している場所が限られる。しかも生産はチリSQMや米アルベマールなど4社が寡占する状態。安定確保が課題となる資源であることは間違いない。

原料部分をボトルネックにしたくない

通信事業が中心であるソフトバンクグループが、なぜリチウムを確保するのか。

ソフトバンクグループCEOプロジェクト室長で、ネマスカへの出資について稟議の起案などにかかわった三輪茂基氏は、「われわれは電池の最大の需要家になり得る」と、その理由を語る。

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