この「早くしなさい!」という言葉は、実は親のイライラを解消するために発している言葉であることが多いのです。イライラ解消言葉を発することにより「一時的にでも子どもがやっている」状態になると、親は「一時的な安心」を得ることができます。
しかし、当然長続きしないため、またこの言葉を連発することになります。そしていつしか、親の「早くしなさい!」が子どもにとっての“アラーム”となり、子どもは親が言うまで行動しなかったり、「言われたら早くやろう」と考えたりするようになっていく可能性も高いのです。この状態は子どもと親が同居している間、つまり自立するまで、結婚するまで続くことだってありえます。
でも、「『早くしなさい』と言わないで、どうしたら子どもは焦りを感じて自分から勉強するようになるのでしょうか?」ということが気になりますよね。特に中学受験が迫る小6ともなればなおさらです。
しかし、佐々木さんのこの質問に対する筆者の回答は、「焦らせてはいけない」です。
焦りを感じてもらいたいのに、焦らせてはいけないと言われてかなりの違和感を持たれると思いますが、それでも「焦らせてはいけない」のです。親が焦る気持ちを子どもにも同じように持ってもらいたいと願い、けしかけたとしても、絶対に解決はしません。
「焦らせてはいけない」のはなぜか
なぜなら親のほうが一方的に焦り続け、正しい判断ができないことが往々にしてあるからです。さまざまな手段を子どもに対して行い、“いじり”すぎることで子どもはますます、親の希望する世界とは真逆の世界へと入っていくことでしょう。
でも、「焦らせてはいけない」ということはわかっても、実際子どもは受験をするわけであり、合格するためには今の現状ではまずいかもしれません。そこで、どうすれば今の現状を変えることができるかという点についてお話しましょう。
それは「焦りを感じないスローペースな子でもできる『仕掛け』を作る」ことです。
佐々木さんは、そのために「ストップウォッチ」という仕掛けを使われたのでしょうが、それは、「早くやらせるために使った手段」であり、そのような手段ではなく、スローペースな子でもできる「仕掛け」を作るのです。
その仕掛けとは、「優先順位づけ」という仕掛けです。
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