中学受験「教科書を全部やる」のは非効率だ 「スローな性格の子」に教えたい勉強法がある

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たとえば10のことをやらなければならない状況があったとして、早い子は10すべてのことができてしまいます。遅い子はせいぜい5つだとしましょう。同じ時間で2倍もやる量で差がついてしまいますね。この状況が「親」の焦りを生む背景なのです。

しかし、ここからが大切なことなのですが、「本当に10のことをすべてやらなければならないのだろうか?」ということなのです。

「80:20の法則」

多くの人が知らない非常に大切な法則があります。それは教科書の全体の知識のうち頻出上位20%の知識をマスターすれば80点得点できるという法則です。これを「80:20の法則」と言います。

もちろんつねにこんなに綺麗なパーセンテージに実際はなっているはずもなく、多少の変動はありますが、しかしこの法則はある意味、真実を語っています。

世に、要領がいいと言われる人は、これを知っているのです。ですから、「あいつはあまり勉強してないのに、なぜか点数がいい」と言われる背景には、このような実態があるのです。

これまで数千人の子どもたちを指導してきて感じたことは、この「要領がいい子」と「要領がよくない子」に分かれていることでした。要領がいい子は、何をマスターしたら得点できるかがわかっていますが、そうでない子は、すべてやろうとしてタイムアップになるのですね。

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スローペースな子には、この「要領」を教えてあげるのです。優先順位をつけるという要領を。

そうすれば焦る必要もなく、マイペースで必要なことをやることができます。優先順位で考えると10のうち4つもできれば、ほぼ全体の80%ぐらいをカバーできるだろうと考えていくのです。

優先順位は、親がはじめは教えてあげる必要があります。親が判断できないのであれば、子どもに塾の先生へと聞かせに行かせてください。

「どういう順番(優先順位)で問題をやっていけばいいですか?」「どの部分をまずはやっておくといいですか?」と。そうすれば教えてくれるはずです。

やるべきことすべてが、最重要であるはずはありません。必ず「軽重」があるのです。全てをやらせようとしない。この心構えを親が持つといいでしょう。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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