「うちの子は遅れている」「何か問題があるのでは」…親が“問題ではないことを問題と捉える”という問題。子どもの発達は《個人差の宝庫》だ!

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おもちゃで遊ぶ親子
多くの親が、「問題ではないことを問題と勘違いしてしまっている」といいます(写真:mits/PIXTA)
【相談】
4歳の息子がまだ単語でしか話せません。同じ年の子はもうペラペラおしゃべりしているのに、うちの子は「ママ」「パパ」「いや」と一単語で話すことが多いです。保育園の先生からも「もう少し様子を見ましょう」と言われていますが、このまま小学校に入学できるのか不安で夜も眠れません。私の接し方が悪かったのでしょうか? 何か特別な訓練をしたほうがいいのでしょうか?
(仮名:山本さん)

子どもの発達はまさに“個人差の宝庫”である

子どもが「自分の想定通り」に育っていないと、不安になるのは当然のことです。特に初めての子育てであれば、何が“普通”で、何が“異常”なのか分からず、毎日が手探りの連続です。筆者はこれまで1万5000人以上の親御さんから子育ての相談を受けてきましたが、そのうちかなりの割合が、実際には「問題ではないことを問題と勘違いしてしまっている」ケースです。そしてこの“思い込み”こそが、親子ともに長く苦しむ原因となっていることが少なくありません。

人は不安になると、目の前の現象を、悪い未来の予兆として解釈してしまうことがあります。「このまま言葉が出なかったらどうしよう」「発達に障害があるのではないか」「私の育て方が悪かったのか」と、さまざまな負の想像が膨らみ、心を締めつけてしまいます。でも、そのほとんどは実際には起きません。というのも、多くの親御さんの悩みは、翌年には自然と解消されているからです。そしてまた翌年には、別の悩みが発生します。つまり、悩みは変わり続けますが、ほとんどのことは“自然と解決していく”というのが子育ての現実なのです。

今回のような言葉の発達に関する相談は、毎年必ず寄せられます。けれども、それを問題視した親御さんの多くが1年後、「気づいたら普通に話すようになりました」と報告してくれます。これは、子どもの発達がまさに“個人差の宝庫”であることを示しています。花が咲く時期が植物によって違うように、子どもにもそれぞれの咲き方がある。誰よりも早く咲く子もいれば、ゆっくり育つ子もいます。そのどちらが良い悪いという話ではありません。

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