また中国で発生した「不正ワクチン事件」の闇 35万人の子供が接種、親たちに広がる不安
中国でワクチン製造会社による製造記録の改ざんや、品質基準に満たない製品の大量出荷が明らかになった。ワクチンを巡っては、わずか2年前の2016年にも、冷蔵保管されない予防接種用のワクチンが、全国規模で出回った事件が報じられたばかりだ(参考記事:中国「違法ワクチン」、幼児の体に起きた悲劇)。
相次ぐ「ワクチン・スキャンダル」に、李克強首相のみならず、アフリカを訪問中の習近平国家主席までが、相次いで徹底調査を緊急に指示するなど、国民の不安解消に追われている。
狂犬病ワクチンの製造記録を改ざん
7月15日、国家食品薬品監督管理局は、吉林省にある長春長生生物科技有限会社(以下、長春長生)が、狂犬病ワクチンの製造過程で、記録偽造など重大な違反をしたと発表した。その上で、同社に製造停止を命じるとともに、同社のワクチンの製造資格を剥奪した。一方、違反のあった製品については、市場に出回ったものも含め、すでに全量を押収したとしている。
中国メディアによれば、長春長生の2017年の狂犬病ワクチンの出荷量は、355万人分に上り、国内第2位という。
狂犬病は発症すると、死亡率が100パーセントに近いと言われている。そのため、狂犬病のウイルスを持っている動物に噛まれた場合には、速やかにワクチンを打ち、発症を防ぐ必要がある。命を守る最後の望みであるワクチンで、データの改ざんがあったのだ。
中国では、いまだに狂犬病が発生しており、毎年数百人が死亡しているだけに深刻である。今年5月には、首都北京の日本人も多く住む地域で、野良犬が次々と8人に噛み付き、狂犬病が疑われた。その時は、北京在住の日本人同士で「もし犬に噛まれても、中国のワクチンは偽物の可能性もあるから、ワクチンを打つのも危険だ」などと冗談を言い合っていたが、まさにその事態が生じたのだ。
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