「はしか感染」を防ぐために今からやれること 日頃の予防が肝心だが今やれる対策もある
沖縄を発端としたはしかの感染は、「大火事になっているのではなくて、言うなればまだ”ボヤ”です」と語るのは、感染症対策の専門家として知られる川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長だ。世界保健機関(WHO)や国立感染症研究所などで約30年にわたり感染症対策に携わってきたエキスパートである。
「はしかワクチンの定期接種は2006年、MRワクチン(麻しん・風しん混合ワクチン)による2回の接種に変更され、1歳児と小学校入学1年前の間に行うことになっています。今の子供たちの95%前後は免疫(抗体)を持っています。ですから、以前のような何万人も患者が発生するというような流行にはなりにくいでしょう。ただ、感染者が徐々に増えて数百人になり、やがて1000人というように増えると、亡くなる方も出てくるでしょう。放っておいて火が広がるのはまずい。やっぱりボヤの内に消さないと」
マスク、うがい・手洗いはしたほうがいい
はしかの感染力はインフルエンザなどとは比べものにならないほど強力である。マスクをしても空気感染してしまうのは有名な話だ。では、マスクの着用は意味がないのだろうか。
「そんなことはありません。もちろん、マスクでは不十分ですが、しないよりははるかにいいです。同じように、うがい・手洗いではしかの感染は防げないから、手を洗ってもまったくだめ、と解釈するのは大間違いです。手を洗うことは感染予防の基本です」(岡部所長)
医療が進んだ国では、はしかで亡くなる人はずいぶん少なくなる。しかし、免疫がない人がはしかにかかると重症化しやすい。岡部所長は「はしかはそれ自体だけでなく、合併症の心配もある」と指摘する。
はしかから肺炎を起こしたり、角膜炎になり失明したりすることもあれば、中耳炎を起こして難聴になる場合もあるという。はしかウイルスに効く有効な薬はないので、やはり予防が大切になる。
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