「はしか感染」を防ぐために今からやれること 日頃の予防が肝心だが今やれる対策もある

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SSPEの初期症状としては、普通に元気に生活していた子どもに、動きがおかしい、転びやすい、記憶力が低下したなどの様子が見られる。「ピアノの鍵盤がうまくたたけない」「成績が下がる」といったことがきっかけで見つかった例もある。症状の表れ方はまちまちで、初期の診断は難しく、治療法も確立されていないという。

予防にはやっぱりワクチン

はしかから身を守るためにはどうすればいいのか。やはり、ワクチンを受けるのがいちばんである。

「はしかにかからないようにするためには、予防接種を受けるしかありません。自ら行動を起こしてください」(岡部所長)

はしかにかかったことがなく、一度もはしかのワクチンを受けたことがない人は、早めにワクチンを接種したほうがいい。はしかにかからなければ、はしかによる脳炎にも、肺炎にも、中耳炎にも、角膜炎にも、SSPEになることもない。1回接種している人は、今の状況が落ち着いてからでもいいので、もう一度ワクチンを接種したほうがいいという。

「しかし今、1回接種の人や心配性の2回接種の人が急に詰めかけては、最も必要とされる0回接種の人、最も守るべき子どもたちにワクチンが行き渡らなくなるおそれがあります」と岡部所長は注意を促す。

子どもに予防接種を受けさせることも大切だ。まだ小さい子どもたちは、自分で予防接種に行けない。

「以前、大学生の息子がはしかにかかった後に脳炎を起こし、重い障害が残ったというような事例がありましたが、子どものとき、定期のワクチン接種を受けていませんでした。その親御さんが『自分は親としての義務を果たしていなかった』と語っていました」(岡部所長)

1回はしかの予防接種をしていても、はしかにかかることはありうるが、症状は格段に軽くなる。2回接種を受けているにもかかわらず、熱が出る人もまれにいるが、症状は軽く、ほかの人にうつすこともほとんどない。

何か起きてから過去を悔やんでも始まらない。子どもを定期接種の時期にきちんと受けさせておく。これは親の務めと心しておきたい。

山口 茜 医学ジャーナリスト、プサラ研究所所長

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やまぐち あかね / Akane Yamaguchi

医師専門の医学新聞社に勤務し、これまで約20年間にわたり世界20カ国以上で取材活動を展開、取材した医師は2000人を超える。2013年に新聞社を退社後、 2014年株式会社プサラ・インスティテュートを設立。「医学をわかりやすく」をモットーとしたプサラ研究所所長として、高度な医療情報を医師や専門家だけでなく一般にもわかりやすく伝えている。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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