連載を久しぶりに再開いたします。筆者は職場を変えたことに伴い、東京から関西に拠点を移しました。
拠点を移してからまず最初に向かったのが、大阪市西成区に位置する、あいりん地区(釜ヶ崎)。以前、ミャンマーと白内障の関係について紹介しましたが(なぜミャンマーで白内障患者が急増したのか)、あいりん地区もまた、公衆衛生(パブリックヘルス)やグローバルヘルスに携わる身としては、気になる地域の1つでした。
それは、このあいりん地区で結核を発症する人の割合が、2015年時点で南アフリカと同程度、スワジランドよりも多いという統計もあるから。
その現状を探るべく、女1人、平日の昼間にあいりん地区を歩いてみました。
現代のスラム街
あいりん地区は、日本最大の日雇い労働者向け簡易宿泊所が集まる所として有名ですが、最近では高齢化が進み、生活保護受給者が2.5人に1人、簡易宿泊所が福祉アパートに模様替えするなど、超高齢化が目立つ日本最貧困地域です。
JR新今宮駅の高架下を抜けた途端、ふん尿のにおいがあたりに一気に立ち込めます。吐き気を催しつつも気を取り直し、あいりん労働福祉センターの前の横断歩道を渡ろうとしたとき、異変に気づきます。
道を1本隔てただけで、あたりには中高年の男性しか見当たらず、閑散としているようで、人の気配を感じます。そして日雇い労働者と思われる男性が自転車で私の周りをくるくると旋回しだしました。
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