あのギョウ虫検査が義務ではなくなった事情

1949年検査では64%の小学生に卵があった

人類と寄生虫との戦いの最前線はどうなっているのでしょうか?(写真:Suwin / PIXTA)

かつて筆者はロンドン大学の衛生熱帯医学大学院で勉強していました(「ウィルスって最強じゃん!」から始まった)。当時専攻していたのは、「医学寄生虫学」という学問でした。

この連載の一覧はこちら

この学問は、寄生虫の中でも特に人間に害を及ぼすものや、それを媒介する生き物、その予防や対策について学ぶもの。1929年に建てられた校舎には、蚊やノミ、ダニのオーナメントが飾られているほか、指導教官の1人は、ロンドン郊外の自宅の庭に温室を建てて、マラリアを媒介する蚊を実験用に育成していました。

寄生虫による疾患者は世界で28.5億人

一方の日本でも寄生虫が身近だった頃があります。小学生のときお尻にセロファンをペタペタした記憶があるのではないでしょうか。あれは「ギョウ虫」という寄生虫の卵の有無を調べる検査でした。その検査も2016年4月からは義務ではなくなりました。そのため、ますます寄生虫は私たちの生活から遠い存在になっています。

でも世界に目を向けてみると、主な寄生虫による病気にかかっている人は、世界中でなんと約28.5億人もいるのです。これは世界の人口の約4割にもあたります。今回の記事では、ギョウ虫をはじめとする寄生虫による病気の最前線について、見てみたいと思います。

寄生虫は、人間を含む動物に寄生して食物をせしめる生き物のことで、英語ではパラサイトと言います。パラサイトシングルと呼ばれる、社会人実家暮らし、基礎的生活条件を親に依存している独身者のことを想像すると、その生態がイメージしやすいかもしれません。

パラサイトシングルが、家という箱モノや食料といった栄養分がないと路頭に迷ってしまうのと同じく、寄生虫も寄生される動物(宿主)なしでは生きていけません。

次ページ人につく寄生虫の種類は?
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 就職四季報プラスワン
  • 森口将之の自動車デザイン考
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ストロング系チューハイの光と影
ストロング系チューハイの光と影
無神経すぎる人に「ちょっとだけ言い返す」技術
無神経すぎる人に「ちょっとだけ言い返す」技術
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「未来を知る」ための読書案内<br>ベストブック2021

先を見通せない日々が続きますが、本を開けばアフターコロナ時代のヒントがあふれています。本特集では、有識者や経営者、書店員らが推薦した200冊を掲載。推薦数の多い順にランキングしました。あなたにとっての珠玉の1冊を探してみてください。

東洋経済education×ICT