日本はなぜ「結核中蔓延国」から脱せないのか

大阪あいりん地区は南アと同じ結核罹患率

4つ目に多剤耐性結核の出現。結核は、一般的に何種類かの薬を半年程度、飲み続けて治療します。しかし、半年間、毎日何種類かの薬を忘れずに飲み続けるのは大変なことです。また、特に症状が治まった場合に服用を中断してしまったり、不規則に薬を服用したりすると、薬に耐性を持った結核菌が出現しています。そうすると、結核の治療はとても難しくなってしまいます。

最後に、結核に対する関心の薄れ。過去の病気と思われがちな、結核。結核患者の減少とともに、結核への関心も薄れ、予防に対する意識や結核対策に充てられる予算も減少しています。そのため、結核を発症しても気づかずに受診が遅れたり、医師が日常の臨床の中で結核を疑う機会が減り、結果的に診断が遅れるケースも少なくありません。

あいりん地区はまさに、高齢化した社会的弱者たちが、都市部の人口が密集した地域に集まり、適切な治療を受けられない、あるいは受けない状態にある、という結核高蔓延地帯なのだと感じました。

結核中蔓延国から脱するには?

日本がいまだ結核中蔓延国であるのには、先にお話ししたような、高齢化や都市化、格差の拡大、グローバリゼーション、そして無関心といったさまざまな要素が複雑に絡み合っているからです。

ただ、このような中、何もできないわけではありません。

結核患者は、2000年以降、毎年1.5%ずつ着実に減っていますし、2014年には、日本で約40年ぶりに、多剤耐性肺結核の新薬が承認されました。

また、1990年代から世界標準として採用されているDOTSは、日本人医師の古知新先生が世界に広めたもので、最も費用対効果の高い治療法としても有名です。

厚生労働省は、「2020年までに日本が結核低蔓延国」となることを目指し、徹底した対策を実施することを宣言しています。高齢者、社会的弱者、外国人、一部の若者など、結核のハイリスクグループごと、また、地域ベースでのきめ細やかな結核対策に期待したいです。

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