インフル治療「タミフル」は万能ではないのか WHOは必須医薬品リストから外した
米疾病対策センター(CDC)のインフルエンザ流行マップを見るかぎり、この冬米国で大流行しているH3N2型の魔の手から逃れるのはかなり難しそうだ。特にたちが悪くて広くはびこっているさまが一目でわかる。
おまけに今シーズンのインフルエンザワクチンは、製造過程でのウイルスの変異により効果が出にくくなっているとも見られている。インフルエンザの流行が米国より先に始まるオーストラリアでは、ワクチンの効果があったのはたったの10%だったとの推計もあるほどだ。
感染初期段階は1~4日
全米各地の病院で救急処置室の大混雑が伝えられ、薬局ではインフルエンザ治療に使われる薬が市販薬も処方薬も品薄になっている。米国におけるインフルエンザの流行シーズンは始まったばかりで、終わるのは5月だ。
免疫力の弱い重症化しやすい患者はもちろん、そうでなくても呼吸が苦しくなったり気が遠くなりそうになった場合は医師の診察を受けるべきだ。だがもともと健康体の人ならば、最良の戦略はインフルエンザが体にどのような症状を引き起こすかを理解し、それに基づいてセルフケアを行うことだ。
インフルエンザは主に空気中の飛沫によって感染する。だからもし、周囲で発症した人がいてあなたがその人から1〜2メートル以内のところにいたとしたら、あなたは彼らの吐く息を吸い込んでいた可能性が大きい。するとウイルスは鼻やのど、気管支の粘膜にくっつく。そして粘膜を構成する上皮細胞に侵入してその代謝機構を乗っ取り、ウイルスを増殖させて周辺の細胞へと感染を拡げていく。
この感染初期の段階は1〜4日間続く。「息を吸えば吸うほど潜伏期間は短くなる」と、バンダービルト大学医学大学院(テネシー州)の感染症専門家、ウィリアム・シャフナー医師は言う。「初めは体調に異常は感じない。かかっていることにすら気づかない」。