インフル治療「タミフル」は万能ではないのか WHOは必須医薬品リストから外した
そこで問題となるのが、米国をはじめ多くの国々で2000年代半ば以降、将来のインフルエンザのパンデミックに備えて始まった抗インフルエンザ薬の備蓄の妥当性だ。世界保健機関(WHO)は昨年、オセルタミビルをWHO必須医薬品モデルリストから外した。効果のほどはどの研究を参照するかによって異なるということだ。
もともと健康体の人がインフルエンザにかかった場合、発症後48時間以内にオセルタミビルを投与すれば症状が出る期間を3分の2日ほど短縮できるという点では大半の研究者の意見は一致している。だが1回の発症につき費用が154ドルほどかかるうえ、吐き気や嘔吐といった副作用があることを考えると、投与するだけの価値がこの薬にあるかどうかは怪しいところだ。
今からでも予防接種を
「インフルエンザを一度にやっつけてくれるような薬があればいいのだが」とCDCのインフルエンザ対策部門の専門家、アンジェラ・キャンベルは言う。だがキャンベルは、現時点ではオセルタミビルなどの薬しかないことを指摘し、外来患者への投与については費用や効果など「さまざまな要因を勘案して患者ごとに医師が決断すべきこと」だと主張する。
CDCはまた、今からでも今シーズンのインフルエンザウイルスの予防接種を受けるよう呼びかけている。予防効果こそ疑問視されているが、かかった場合の重症化を防ぐ効果が期待できるからだ。H3N2以外の型では、有効率は40〜60%だったとの過去データもある。
だが発症した場合には、体を休めて水分を十分に摂取し、1日中横になっているのは避け、新鮮な空気と日光を部屋に入れるよう努めるのがいちばんだ。友人や家族や同僚にうつさないためには、熱が下がって気分がよくなってから48時間経つまでは人との接触を避けることが大切だ。
何週間も咳が続く場合もあるが、シャフナーによればそれによって他人にインフルエンザをうつす危険はたぶんないという。ただ不快なだけだ。
(執筆:KATE MURPHY記者、翻訳:村井裕美)
© 2018 New York Times News Service
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