インフル治療「タミフル」は万能ではないのか WHOは必須医薬品リストから外した
ということは、咳や鼻水を抑える市販薬を飲むのはいい対応策ではないかもしれないということだ。
「ウイルスを追い払いたいなら、咳を抑え込むとか鼻水を止めるのはやめておくというのも1つの考えだ」と言うのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学大学院のタラ・ビジャヤン准教授(感染症学)だ。「うまいバランスというものは確かにある。必要以上に苦しい症状を我慢すべきだとは思わないが、本当の利益とてんびんにかける必要はある」。
「タミフル」で死亡リスクを減らせるのか
体を休めたくなるのはわかるが、ずっと横になっているのは必ずしもよくない可能性がある。横になると肺がつぶれ、効果的に咳をできなくなり、入り込んだ細菌を気道から外に出せなくなるからだ。もし気管支の細胞の破壊が進んで細菌が肺まで侵入すると、インフルエンザの合併症の中でも生命にかかわりかねない肺炎になる可能性がある。
だが肺が横向きではなく縦向きになっていると「深く自由に呼吸ができ、咳で異物を排出することもできる。顕微鏡でしか見えないような、気管支の奥深くに入り込む細菌もそうだ」とシャフナーは言う。
CDCは入院中だったり、高齢や妊娠中、何らかの理由で免疫力が低下しているなどインフルエンザの合併症のリスクが高い人については、抗インフルエンザ薬「オセルタミビル(商品名:タミフル)」の投与を勧めている。投与により、患者が死亡するリスクを減らせるかもしれないことが観測データで示されているというのがその理由だ。
だが、この見方に同意しない専門家もいる。オセルタミビルであろうが「ザナミビル(商品名:リレンザ)」であろうが、そうした結論を示す十分な証拠は得られていないというのだ。