また中国で発生した「不正ワクチン事件」の闇 35万人の子供が接種、親たちに広がる不安

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
長春長生の高俊芳会長(香港01のサイトより)

長春長生は、国有医薬品メーカーの子会社として1992年に設立された。現在のトップは、64歳の高俊芳会長である。色白のふくよかな女性で、見た目は実年齢より若い。昨年の中国の富豪番付では、家族が51億元(約831億円)の資産を保有し、吉林省で第3位の資産家とされた。

庶民の健康を食い物にして、巨額の利益を得ている。そう疑いの目が向けられてもおかしくない。

澎湃新聞は、過去の裁判資料などから、不完全な統計としながらも、長春長生とその親会社が、これまでに少なくとも12件の贈収賄事件にかかわっていると報じている。そのほとんどが、医薬品の販売代理店が贈賄側、市や県の疾病コントロールセンターの職員が収賄側という構図だ。うち4件は長春長生の職員が直接関与していたという。

高俊芳会長ら15人の身柄を拘束

そして24日、警察当局は、刑事犯罪にかかわったとして、高会長ら15人の身柄を拘束した。事態は一定の結論に達したかのように見えるが、品質基準を満たしていないワクチンが流通してしまった事実を考えれば、事件の本質は一企業だけの問題ではないだろう。

習近平国家主席は、長春長生の行為を、「劣悪で、ショッキング」とし、ワクチンの管理体制を確立するよう指示した。李克強首相は「人の道徳の最低ラインを超えた」と激しく非難し、人間の生命と安全に危害を加える犯罪行為は必ず取り締まると宣言した。

中国では問題が起きる度に、指導者たちが勇ましい言葉で取り締まりと再発防止を宣言する。それにもかかわらず、食品や薬品の安全問題は、繰り返し起きる。

その代償を払うのはいつも庶民だ。

宮崎 紀秀 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みやざき のりひで / Norihide Miyazaki

日本テレビ報道局、社会部警視庁担当記者、外報部デスク、中国総局長などを経て現在はジャーナリストとして北京在住。主に「バンキシャ!」「ミヤネ屋」「ウェークアップ!ぷらす」など日本テレビ系列で放送する報道番組にコンテンツを提供。中国がらみのルポを得意とする。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事