ただ、規模によって温度差があり、従業員1001人以上の大企業で「している」と回答した企業は半数を超えているのに対し、中堅・中小で特別な施策を講じている企業は30%台にとどまっている。
規模が大きい企業は、予算や人員があるのでターゲット採用に取り組めるが、中堅・中小では難しい、と言うことなのだろう。
ターゲット校として設定している大学数で最も多いのは「1~10校」で6割に達する。「11~20校」も2割程度あるが、それよりも多く設定している企業はきわめて少ない。そもそも絞り込む行為がターゲッティングなので、少ないのは当たり前だろう。
ただし、ここでいう「ターゲット」とは、この大学からしか採用しない「指定校」、という意味ではない。あくまでも「採用重点校」といった意味合いである。たとえば、採用実績校は重視・優遇する傾向にある。また地元にある大学は、定期的に学生を企業に送り込んでくれる可能性があり、関係構築にも熱心になる。
超難関校限定セミナーは企業にもハードルが高い
では、どのような活動で、関係を強化しているのだろうか?
「ターゲット層を採用するために実施・検討している施策」を複数回答で聞いたところ、「キャリアセンター・就職部訪問」が最も多く54%、そして「大学主催の学内セミナー」が45%となっている。キャリアセンターを訪ねて親密な関係を築き、学内セミナーに招いてもらって、学生を集めるのが王道になっている。
キャリアセンター訪問以外で目立つのは、学生と接触する機会を設ける活動だ。「インターンシップの活用」(47%)、「先輩・リクルーターの活用」(38%)、「研究室訪問」(37%)、「内定者の活用」(25%)と続く。意外に少ないのは、就職ナビなどが主催する「ターゲット大学別の合同セミナー」で、22%しかない。就職ナビが主催する大学別セミナーは、旧帝大クラスに限定されていることが多く、超大手企業向けのイベントととらえられているのだろう。
フリーコメントの中に、ターゲット採用に関する企業からの興味深い内容があったので、紹介したい。
「行っているのは(逆求人やリファラル=縁故採用など)ダイレクトソーシングの活用強化(ターゲット層の学生が対象)。上記学生を対象に、3月以前に企業研究会、採用選考を実施。採用実績のある大学の学科ごとの就職担当教授を訪問し推薦求人依頼を実施。ターゲット大学の学内ガイダンス参加(採用実績があっても参加できないケースがある)。OBリクルーターによる学内説明会参加。最終選考合格者へのフォロー活動(配属希望部門との面談など)」(従業員規模301人~1000人、メーカー)
とても精力的だが、これくらいの取り組みを行わないと満足な結果は得られない、ということかもしれない。
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