ゾゾだけじゃない!衣料業界の自動採寸技術 アパレル各社がオーダー生産に乗り出す理由

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光和衣料が活用する3Dボディスキャナー。真ん中に立つと0.5秒で体のあらゆる部分を測定する(記者撮影)

自動採寸によるオーダーメードの学生服の生産を始めた企業が存在する。埼玉県に本社を置き、学校制服の製造などを手掛ける光和衣料は今年、3Dボディスキャナーを活用した生産システムの運用を始めた。

ボディスキャナーの技術は、大学発ベンチャーのスペースビジョンが開発。カメラを内蔵した3本の柱の中央に利用者が立つと0.5秒で約100万カ所を自動で測定する。採寸データは自社サーバーを経由して生産ラインに送られ、採寸から18分後には生地が裁断される。そしてわずか3時間後、オーダーメードの制服が完成し、出荷できる状態となる。

以前は1人当たり5分かかっていた採寸時間を大幅に短縮し、制服採寸のために生徒が並ぶ待ち時間や、手作業で採寸を行うパート従業員らの人件費も削減。そして生徒1人ひとりに最適なサイズの制服を製造できるようになった。要望に応じて、ゆとりあるサイズに調整することもできるという。

大手アパレル社員が続々訪問

同社の伴英一郎社長は「既存のサイズに合わせると、生徒の体形によって袖の長さや腰回りの大きさが足りないなど、どうしても不具合が出ていた。このシステムだと在庫も発生せず、トータルコストを下げられる」と話す。

光和衣料が今年から始めた新しい生産システムでは、スキャナーによる自動採寸から3時間で制服の上着が完成する。作業効率化を進め、従業員の定時退社も推進している(記者撮影)

今年に入って光和衣料には、三越伊勢丹ホールディングスや大手アパレルメーカーの社員が続々と訪問。彼らの多くは、女性向けスーツなどのオーダー販売に向けた糸口を見つけようと模索している。

アパレル業界ではここ数年、スタートトゥデイのPBはもとより、オンワードホールディングスやコナカがオーダースーツ専門の新業態を始めるなど、オーダー商品の展開への機運が高まっている。

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