居心地の良い組織の「業績が悪い」という逆説

「明るさ」と「ゆるさ」を混同してはいないか

ただ、この営業チームの業績をみると、あまりいい状況ではありません。会社全体としては、厳しい環境の中で少しずつ業績を伸ばしてきていますが、このチームだけは目標の未達成が何年か続き、売上や利益もほとんど停滞しています。スポーツで言えば、ずっと負けが込んでいるような状態です。普通はそれでチームの雰囲気がいいはずはありませんが、リーダーからもメンバーからも、そんな危機感はうかがえません。

「空気のよさ」と「ゆるさ」を勘違いしている

この営業チームの「雰囲気」と「業績」の大きなギャップは何なのか。その理由をつかむために私はしばらくの間、このチームの仕事ぶりを観察させてもらうことにしました。そこから徐々に見えてきたのは、こんなことでした。

まず、一見すると雰囲気は確かに明るく、話しやすく、お互いの仲がよさそうで、ギスギスした感じは全くありません。ところが、メンバー同士の会話の内容をよく聞いてみると、仕事に関わる会話の頻度が、明らかに少ないのです。私から見ると、どうでもいいような雑談の類いが多く、その手の話をいつまでもダラダラと続けながら、合間に何となく仕事をしているように見えました。

また、リーダーをはじめとして、その様子を周りの誰かが注意することもありませんでした。

これは「明るさ」「話しやすさ」というよりは、「軽さ」や「ルーズさ」、悪い意味での「子どもっぽさ」、つまり「ゆるんだ雰囲気」と言わざるを得ません。仕事をする場の雰囲気としては、全く好ましいものではありません。

この話をリーダーに直接伝えると、実はリーダー自身もそう感じていたことがわかりました。しかし、今どきのチームの雰囲気とはこういうものだと思い、それを壊すことは好ましくないと考え、今のような振る舞いを許していたそうです。メンバーから反発されて、チームがまとめにくくなるのを恐れていた部分もあったといいます。

そこで、まずこのチームに対して私が行ったのは、毎日定例で実施していた業務ミーティングのやり方を変えることでした。これまでは、日常のゆるい雰囲気を引きずって、ミーティングの最中でも雑談めいた話をしたり、業務上の情報交換がおざなりになっていることがありました。

また、リーダー自身もそれを指摘したり注意したりすることがありませんでした。私はそこを改め、定例ミーティング中は業務に関する情報交換に集中することを宣言し、必要な指示命令や、場合によっては厳しい指摘といったこともまとめて行うようにしました。その代わり、日常業務中の雰囲気にはあえて口出しをしないことにしたのです。

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