居心地の良い組織の「業績が悪い」という逆説 「明るさ」と「ゆるさ」を混同してはいないか
「チームの空気をつくる」と聞いて、リーダーの皆さまはどのようことを思い浮かべるでしょうか。最もイメージしやすいのは、チームの「雰囲気をよくすること」でしょうか。
確かに、メンバー同士の仲がよく、いつも和気藹々(わきあいあい)とした雰囲気がつくれたら、それはメンバーにとってもとても働きやすい環境といえます。
ただし、こうした「雰囲気のよさ」と「空気のよさ」とは似て非なるものです。もちろん、チームによい空気をもたらそうと考えたとき、「雰囲気をよくすること」はとても大切な要素です。ですが、「よい空気」とは、決してそれだけではないのです。
ここでは、ある会社の例を通じて、リーダーが意識しなければならない、「雰囲気のよさ」と「空気のよさ」の違いについて考えてみたいと思います。
雰囲気がいいのに業績が悪いチーム
私がコンサルティングの仕事の一環で、とある会社を訪れたときのことです。私はその会社が抱える経営課題の状況把握のため、各部署のチームリーダーにヒアリングを行っていました。
そのときに、ある営業チームのリーダーが、自分のチームの様子を評して、「うちのチームはみんな仲がよくて雰囲気もいいんです」と述べていたのです。一見したところ確かにその通りで、メンバーみんなが明るく会話をしており、暗い感じやギスギスした感じは全くありません。
そこで、もう少し細かく聞いてみました。このリーダーはメンバー同士が「話しやすい雰囲気」こそが大事だと認識し、お互いができるだけフラットな関係で、何でも気軽に言い合える空気を意識してつくっているということでした。同じことを他のメンバーに聞いても、「仲がいい」「話しやすい」という言葉が出てきます。リーダーが意識してつくったこの雰囲気は、確かにチームに浸透しているようです。
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