でも、数学者が言葉を作るとき、宇宙や自然には本質的には興味がないんですよ。そこで物理学者が、数学者の作ってくれた言葉を使って、自然を説明しようとします。
物理学者は理論物理学と実験物理学に大きく分かれ、実験物理学者は直接、宇宙に語りかけて返事をもらいます。理論物理学者は、実験物理学者がもらってきた大事な返事を、数学の助けを借りて理解し、本にまとめるという感じです。
天文学者も実験物理学者と似ています。宇宙を直接見るわけですから、それも一種の語りかけです。『宇宙はこうですよ』という写真を撮って、答えをもらってきているのです」
宇宙を国勢調査する意味
この研究所で現在進行中の大型プロジェクトが、先ほど触れたすみれプロジェクト。ようやく軌道に乗り出した同プロジェクトの目的は、ずばり、“宇宙の国勢調査”をすることだ。

「日本の高齢化の進み方を調べようとするとき、一人ひとりに会ってもわかりませんよね。宇宙もまったく同じで、1個1個の銀河を見ていたのでは、全体の仕組み、今までの歴史、これからの運命がわからない。
そこで“国勢調査”をしなければならないのですが、人工衛星として宇宙を飛んでいるハッブル望遠鏡を使っても、何千年もかかるのです。それでは大学院生も皆、年をとって論文まで至らない(笑)。そこを、ハッブル望遠鏡に比べて1000倍視野が広いすばる望遠鏡を使って、数年でやろうとしています。視野が広く、かつ、遠くの銀河まで見ることができる大きな望遠鏡は、世界にすばる望遠鏡しかないのです。
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