――「日用品や食品、ヒットの後ろに“Mart族”」と言われるほど、『Mart』の読者はあちこちから注目されています。なぜそれほどまでに、“Mart族”は影響力を持つようになったのでしょうか?
実は、自分たちが雑誌の中で“Mart族”という言葉を使ったことは、一度もありません。2006年、日経新聞のコラムでそう呼ばれたのが、“Mart族”の始まりです。06年は、ちょうどイケアが日本に上陸した年でした。そこに積極的に買い物に来て、家周りのことに幅広く消費をする主婦たちが、どうやら『Mart』から情報を仕入れているらしいと。
その後も、食べるラー油やダウニー(衣類用柔軟剤)のブームなどと共に、たびたび“Mart族”が取り上げられました。
あるとき、あるカフェのトートバッグが、誌面で紹介した直後に爆発的に売れたことがありました。雑貨屋の前に、開店前から主婦たちが並ぶのです。そのお店のスタッフだって正確に記憶していない入荷日をどこかから聞きつけてきて、ちゃんとその日に並んでいる(笑)。どうなっているのかよくわからないのですが、とにかく、ものすごいパワーなんです。
――それはすごいですね。創刊のときから、そうした、新しい主婦像を想定していたのですか?
そうですね。『Mart』を創刊する以前、『女性自身』の編集部にいた頃から意識していました。『女性自身』は当社でも最も古い週刊誌で、幅広い年齢層に向けた女性誌としてやってきたのですが、実用記事は30~40代主婦に狙いを絞ろうとしていたのです。
当時は、幕張にコストコができ、都心の百貨店から郊外のショッピングモールへと消費の中心が移りつつあるという時期。やはり郊外型の主婦がひとつのテーマになりました。
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