「幹部候補」育成に失敗する企業の3つの特徴

中堅の「サプライズ退職」には理由がある

しかし、人選で失敗している企業の場合、選抜の基準が曖昧、もしくは、過去の基準のままのケースが多い。将来的に求められる人材を選抜するはずが、過去の評価だけをベースに選抜をする。

さらに言えば、経営・人事・現場の目線も揃っていないことが多い。このようなときに最悪な結果を招きがちなケースが、「各部署から1名ずつ選抜する」という方法。経営層の意図を人事がくみ取れておらず、人事も現場の役職者に上手く説明できていない状態だと、選出基準がバラバラになってしまう。

その結果、「業績が良いだけの人」「上司に従順なイエスマン」なども次世代リーダー候補に選ばれてしまい、真の適任者のモチベーションを下げてしまうことさえある。

そもそもで言えば、「人選」という観点そのものが抜け落ちている企業も多い。たとえば「入社〇年目の社員が対象」や「○○ポジション全員」という風に、一律に機会提供するような『公平さ』だ。これでは、育成が通過儀礼的になり形骸化してしまう。前提として人事が「次世代リーダー」とはどんな人材かをきちんと定義・言語化できていないから、“広くあまねく平等に”育てる発想になる。その結果、リソースが分散し、効果は出ない。

なお、本来、こうした人選に当たっては、対象者のスキルやパフォーマンスといった会社基準だけでなく、個人としての志やスタンス、価値観などを重視して適任者を見極めることも大切だ。

②研修の「インプット」ばかりを重視する

では、正しい人選であれば上手くいくかというと、そうとも限らない。育成においては選抜メンバーに普段の業務とは異なる特別な機会提供を行うものの、方法を間違えると何も身につかない場合が往々にしてあるからだ。

典型的な失敗のパターンは、とにかく研修やワークショップなど形のみから入ってしまい、育成の機会自体が目的化している場合だ。もちろん、研修を行うこと自体が悪いわけではまったくないが、それが実務に活かされなければ意味がない。

重要なのは、研修などの“インプット”と実践的な“アウトプット”を、バランス良く連動させて育成すること。ここでいう実践とは、“次世代リーダーに相応しい実務機会”の提供ととらえたら良いだろう。たとえば、経営直下の新規事業開発プロジェクトの兼務や、本人の課題や成長テーマに則した異動・赴任といった機会をイメージしてもらうとわかりやすい。周囲や上長を巻き込む仕掛けも不可欠だ。

この際にポイントとなるのは、これまでの経験則では通用しない仕事に挑戦し、視座を高め、足りないスキルを自覚的に獲得するきっかけを提供することだ。

実は、“自覚的”というのは大きなポイントで、次世代リーダー候補は既存業務をそつなくこなせるため、日々の仕事のなかでは自らの弱点に晒されることが少ない。だからこそ、意図的に難易度の高い仕事を任せ、今の自分に不足している点に気づいてもらうことが必要。そうしてはじめて知識をインプットすることにも意味が出てくる。

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