仕事のできない人はだいたい数字に弱すぎる 誤差を知り、ざっくりとらえるだけでも違う
大胆に言ってしまえば未知なる世界の数字を見積もる際の「最適ケタ数」は1ケタです。
たとえば、これからワインに関するビジネスを始めるかどうか検討するために、ざっと一世帯あたりのワインの年間購入量(単位=ml)を見積もりたいとしましょう。
ワインボトルの容量はふつう750mlですが、今、最適ケタ数は1ケタなので、ワインボトル1本当たりの容量は800ml(8.0×10の2乗・ml)とします。
次に1つの世帯が1年で購入するワインの本数を考えましょう。毎月1本買うとすれば年間で12本ですが、レストランでは飲むけれど家ではワインは買わないという世帯やそもそもアルコールの類を一切買わないという世帯も少なからずあるでしょうから、ここは(適当に)年間5本ということにしてみましょう。そうなると、1世帯当たりのワインの購入量は
800×5=4000(ml)
と予想されます。
ちなみに、財務省の家計調査(平成26~28年平均)によると、全国平均は3344mlなので4000mlという見積もりは「ケタ違い」ではありません。また、もしワインボトル1本当たりの容量を知らなくても、1000ml程度であることは予想がつくでしょう。その場合は
1000×5=5000(ml)
ですが、やはり「ケタ違い」はしていないのでこれも良い見積もりと言えます。
数字を作る醍醐味
もちろんこれからワインに関連するビジネスを本格的に始める人の場合は、今後さまざまな統計資料を詳しく調べ、ワイン購買に関するマーケティングを正しく行う必要があります。でも、議論・検討の入口で「1世帯当たりの年間ワイン購入料は数千ml」という見積もりが1~2分で立てられることこそが最適ケタ数1ケタの概算を行って数字を作る醍醐味です。
ケタの多い数を表すときは3ケタごとにコンマ(,)をつけます。これは英語がthousand(1000)、million(100万)、billion(10億)、trillion(1兆)、quadrillion(1000兆)と3ケタごとに呼称を変えるからです。ちなみに「bi-」「tri-」「quad-」はそれぞれ「2つ」「3つ」「4つ」を表す接頭辞です 。
一方、日本では万、億、兆と4ケタごとに呼称を変えるので、コンマ表記を読みづらく感じている方もいらっしゃるかもしれません。コンマの付いたケタの多い数を素早く読むコツはコンマ2つ(10の6乗:0が6個)を100万と覚えてしまうことです。
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