仕事のできない人はだいたい数字に弱すぎる 誤差を知り、ざっくりとらえるだけでも違う
多くの現場では細かい誤差は気にせず大まかな値をざっと概算する力が求められます。なぜならビジネスパーソンはいつもスピードを要求されるからです。
さらに、自ら数字を作り、説得力を高めるためには定量化の技術も欠かせません。定量化とは質的なものに数値を与えることを言います。
(3)数字の意味を知っている
数字に限らず、人は意味のわからないものは嫌いです。逆に意味のわかるものには自然と興味を引かれるものでしょう。数字アレルギーの人が数字を嫌うのは、そもそも数字の意味がわからないからではないでしょうか?
知識は焚き火に似ていると私は常々思っています。キャンプファイヤーをやるとき、最初の火を起こすのは少々骨が折れますが、一度火がついてしまえばその火を大きくしていくのはそう難しいことではありません。
数字の知識も同じです。いろいろな分野について「火種」になりうる基本の数字を知識として持っていれば、数字の知識がどんどん広がります。そうなれば数字に興味を持つことができて、数字が言葉よりも雄弁に語りかけてくるメッセージを受け取れるようになります。
もちろん、そうした数字の知識は数字を比べようとする際にも役立ちます。「数に強い人」は、自分の専門分野はもちろん、専門外のさまざまな分野についても基本となる数字の意味を知っているものです。
「誤差」を理解する
特に、「数を作る力」に必要な「概算」と「大きな数のとらえ方」について詳しくお話したいと思います。まずは「誤差」を理解しましょう。
よく知られた小話をひとつ紹介させてください。
ある博物館の警備員は、訪れた人に
「ここの恐竜の化石はどれくらい古いものなのですか?」
と聞かれました。すると警備員は
「8000万と3年前(80,000,003年前)のものです」
と答えます。
「なぜそんなに細かくわかるのですか?」
「だって、私が3年前にここの仕事に入った時、この骨格は8000万年前のものでしたから」
もちろん警備員が答えた端数の「3」には何の意味もありません。
出土した化石の年代を知るには、化石や出土した地層に含まれる放射性同位体の量を測定するいわゆる「放射年代測定法」を中心にいくつかの方法を複合的に組み合わせて行いますが、その結果には必ず測定誤差が含まれます。これは周知の事実であるため、右の小話で警備員の答えた端数の「3」が誰にとってもバカバカしく感じられるわけです。
いわゆる誤差には、このような測定の際に生じる測定誤差のほかに、計算の途中で生じてしまう計算誤差や統計的処理で生じる統計誤差(標準誤差)などがあります。
光速のように値そのものが厳密に定義されていたり、円周率のように定義によって値が定まったりする場合を除き、世の中のすべての数値は誤差を含んでいると言っても過言ではありません。
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