よく、英語はコミュニケーションツールなどと言うが、カランのレッスンでは、何かのトピックについて先生と意見交換をしたり、話したいことを自由に話したりするチャンスはほとんどない。代わりに待っているのが、講師が2度ずつ繰り返す質問に、片っ端から答えていく速聴即答の反復練習だ。
カラン・メソッドは、英会話以前の、「英語を聞いたり話したりするための土台づくり」、あるいは「英会話に役立つ筋トレ」としてこそ、大活躍するのである。
カランのレッスンは、Stage1からStage 12までの12段階で構成されている。Stage 11と12はケンブリッジ英検対策用なので、一般の受講者はStage 10までを受講することが多い。Stage1はWhat’s this? や Is this a pen? から始まり、Stage 10でもそれほど難しい単語は出てこない。全体的に、大学1、2年生、あるいは高校生でも理解できる内容だ。
話せるセンテンスを、機械的に身に付ける
レッスンでは、講師がテキストに沿って、その日に勉強する単語の説明をし、続いてその単語を使った質問文を次々と生徒に投げかけていく。質問文はもちろん、答えの文もテキストに書かれており、講師は生徒がテキストどおりに答えられるよう誘導していく(レッスン中、生徒はテキストを見てはいけない)。
たとえば、What do we put on our bread? という質問に対しては、We put butter on our bread.と答えることになっている。
ジャムを塗る、ピーナツバターを塗る、何も塗らない、バターは太るのでマーガリンにしている、パンは食べない等々、自由に答えるわけにはいかないのが、英会話のレッスンと大きく異なる点だ。カランでは、いちいち考えこまずに話せるセンテンスや、応用できそうなセンテンスを、機械的に練習してどんどん身に付けることに意義がある。
下の2つのパターンを見てみよう。
Is there a pen on the book?
Yes, there’s a pen on the book.
Are there two pens on the book now?
Yes, there are two pens on the book now.
現役の学生でも立派な大人でも、言葉に詰まる人は意外に多い。ペンが1本だけならthere is / there’s、2本以上あるときはthere are / there’reで答えなくてはと、脳が考えるわずかな時間が、一瞬のためらいにつながったり、出かかった言葉にブレーキをかけたりしてしまうのだ。
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