日本代表「ようやく勝利」でみえた微かな光明 コロンビア戦へ向けた布陣はどうなる?

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監督が変わって攻撃のベースがない中で、乾との連携にベースを作り出していきたいと感じていた」と香川も10年来の同い年の盟友と絡む相乗効果を強調したが、彼らが揃ってピッチに立った方がタテへの推進力が増す。足元で収めたい本田と宇佐美ではどうしても攻めのスピード感が低下しがちだ。格上・コロンビアと戦う場合、日本がボールを持てる時間帯は多くないだけに、素早い攻撃を増やす必要がある。そういう意味でも彼らのユニットは有効。右はともに走って戦える武藤と原口元気(ドイツ2部・デュッセルドルフ)の好調な方を使えばいいだろう。

そして最前線のFWだが、パラグアイ戦で9カ月ぶりにスタメン復帰した岡崎慎司(イングランド1部・レスター)が復調。スイス戦で腰を強打しながら復帰した大迫勇也(ドイツ1部・ケルン)や武藤を含めて3人が本番で使えるメドがついたのは大きな収穫だ。この日後半からトライしたように岡崎と大迫を2トップに並べる手もあるし、試合ごとに選手を変えて前からのプレスに奔走してもらうことも可能。

もちろん実績面で大迫が優位に立っているのは事実だが、ターゲットマンの彼がいないと攻撃が成り立たなかったハリル時代と状況が一変したのは事実。西野監督が追い求めている多様性がFW陣に限って言えば確実に見えてきた。「今はチームが勝つためだったら、1トップだろうが、2トップだろうが、手段を選ばない部分がある」と岡崎もFWの役割が限定されがちだった前体制からの変化をポジティブに捉えていた。その効果が出始めたことは1つの収穫だ。

初戦コロンビア対策を急ピッチで進めるべき

このような分析・検証を踏まえると、コロンビア戦で4-2-3-1を採用するならば、現時点での先発候補は川島、酒井宏樹、吉田、槙野(昌子)、長友、長谷部(山口)、柴崎、原口(武藤)、香川、乾、大迫という顔ぶれが有力だ。チームを固めるべきここまでの3試合であえて選手のテストや戦い方のバリエーションを広げる作業に使った以上、西野監督は今後1週間で本大会対策を急ピッチで進めるべきだ。

「次はコロンビアを徹底的に分析すること。それが日本の1つの武器になる」と岡崎も語気を強めたが、ベースキャンプ地・カザン入りしてからの最終調整が成否を大きく左右するはずだ。

2軍とも言える陣容だったパラグアイに1回勝っただけで全てが変わるとも思えないが、サッカーはちょっとしたきっかけで流れがガラリと変わることがある。8年前の2010年南アフリカワールドカップ前より厳しいと見られていた現状がこのパラグアイ戦を機に一気に前向きな方向に転じることを期待し、カザン入りするチームを最後まで追い続けたい。

(文中敬称略)

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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