あの「カラムーチョ」、人気再燃3つの理由 激辛ブームから30年、ベテラン菓子の底力

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実際、親から子へと受け継がれた結果、再びブームとなるものは少なくない。この場合、だいたい30年サイクルでブームがやってくる。たとえば、スキーがそうだろう。最初にはやったのは、1930年代で、次が1960年代、1980年代後半のバブル期を経て、今若い世代が再びスキーに行くようになっている。近年のキャンプブームも、かつてハードなキャンプを楽しんだ層が、子どもを連れてちょっとしゃれたキャンプをするようになったことがある。

エスニックや刺激ブームの波による湖池屋だが、ホットチリのほかに軸となる新たな味の開拓にも余念がない。実際にコンビニやスーパーを訪れると気がつくと思うが、ほぼ1カ月に1回は新たな期間限定品が投入されている。

次に来るのは「コショウ」菓子ブーム?

こうした中で、「ここ5年間で出した中では一番のヒットだった」(マーケティング部の加藤俊輔氏)のが、ブラックペッパー(黒コショウ)味である。昨年10月から約3カ月間出した「やみつきペッパー味」は、「通常の約1.5倍の売り上げが出た」と加藤氏。好調を受け、今年3月にはコンビニ限定で「厚切りベーコンペッパー」を投入した。その結果から、ペッパーに特化した味が求められていると加藤氏は分析している。

昨年10月に発売された「やみつきペッパー味」と、今年3月に発売された「厚切りベーコンペッパー」(湖池屋)

実は、ブラックペッパーも昨年ぐらいから人気が上昇しており、『dancyu』では2017年9月号で「黒胡椒、すごい!」という特集を組んでいる。カルディファームやエスビー食品が、ミル付きの挽きたてが味わえるペッパー商品を販売したほか、カルビーもポテトチップスに「堅あげポテト ブラックペッパー」や「ポテトチップスクリスプ ブラックペッパー味」などを出している。

ブラックペッパーというと洋風に聞こえるが、コショウは日本人にとって唐辛子の次になじみがあるスパイスと言っていいだろう。エスビー食品から家庭用のコショウが発売されたのは1952年。以来、料理のレシピの「塩コショウ」でもおなじみになった。ブラックペッパーとホワイトペッパーを細挽きにした同社の「テーブルコショー」などに比べ、今人気のブラックペッパーはより刺激が強い。

目下、スパイス人気も上昇しているが、口にしていてもなじみがないものが少なくない。その中で、単品で味がすぐわかるものとなると、コショウぐらいという人は多いのではないだろうか。強い刺激を求めている人々にとって、ブラックペッパーは最も手に取りやすく味わいやすい味と言えるだろう。湖池屋も「ペッパーだと、辛みをダイレクトに味わえる」(加藤氏)としている。

湖池屋が今後売り出すフレーバーとしてブラックペッパーは有力候補の1つだと加藤氏は言う。もしかすると今後、ブラックペッパー味が、刺激を求める消費者に応える商品の代表となっていくのかもしれない。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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