日清も明治もカルビーも…「工場新設」のワケ 2年で投資額倍増、業界に何が起きているのか
滋賀県栗東市にある日清食品の滋賀工場。そのすぐ数百メートル先で、同社が「次世代型スマートファクトリー」と呼ぶ、即席麺の新工場が建設中だ。
関西で主力の製造拠点である滋賀工場は1973年の竣工。関東工場(茨城県取手市)や下関工場(山口県下関市)に比べ設備更新が遅れていたほか、ここ数年の人手不足による労務費の上昇が負担となっていた。
2018年秋から稼働が始まるこの工場への投資額は575億円。これまで多くの人手が必要だった製造工程や資材搬入の徹底的な自動化を目指している。日清食品にとって、即席麺での新工場は1996年に竣工した静岡工場(同県焼津市)以来、実に22年ぶりのことだ。
日清食品、大規模投資の狙いは合理化
親会社である日清食品ホールディングス(HD)は5月10日、この新工場への投資をさらに80億円積み増し、総額が655億円になると発表。敷地内に即席麺容器の新工場も併設することで物流も効率化し、さらなる生産の合理化を狙う。
日清食品HDの営業利益は341億円(2018年3月期)。2019年3月期は新工場稼働による27億円程度の償却負担増を見込む。だがHDの安藤宏基社長は、「省人化・効率化投資によって、償却費を超える利益を生み出していく工場になる」と期待を込める。
2019年12月にかけて段階的に稼働していき、フル稼働状態になれば1日当たり315万食と、既存の滋賀工場に比べ2割の増産が可能だ。
ただ日清食品が新工場で狙うのは、増産よりもむしろ生産の合理化だ。必要な人員は滋賀工場の半分以下に抑えられるという。2020年に滋賀工場は即席麺工場としての役割を終え、設備を更新しスープや冷凍食品など日清食品グループ内の製品を製造する計画だ。
こうした合理化投資に動くのは、日清食品にとどまらない。味の素や山崎製パン、キユーピーもそれぞれ新工場の建設による、物流費削減や製造効率化に乗り出している。
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