女を使えない企業が、世界で戦えますか? 上野千鶴子先生に聞く、日本企業と女の今

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日本企業から脱出する女たち

――おっしゃるとおりです。しかし、現状、子育て経験を買ってくれる会社は少ないのが現状です。われわれ女性は、「変わらない企業」とどう接したらいいでしょうか?

あなたたち、みんな忘れているのが、労働基準法だって雇用均等法だって、天から降ってきたわけではないってこと。みんな、裁判などで闘争して勝ち取ってきたのよ。

――それこそ女たちが手を取り合ってきたのですね。しかし、今の女たちは手を取り合おうとしないと。ただ、女たちが居座ることで自然と企業文化は変わると言う評論家もいますが。

私はそう楽観できないと思う。だって、経営者は、組織を変える必要も理由もないと感じているもの。するとできる女は、そんな組織にいるのがイヤになって、自分のほうから出て行っちゃうのよね。だから、生産性が高い人は、個人ベースの査定評価がちゃんとあって、転退職が不利にならない外資やベンチャーに出て行く。結局、日本企業からはみ出していくのよ。

われわれフェミ(フェミニズム)の女たちも、もともと、はみ出した、浮いた女たちだったの。どこからも相手にされないし、つまはじきにされてヘロヘロになって。それで、仲間で集って傷のなめ合いをしていたの(笑)。それで、ちょっとお互い元気になって、「男社会に傷つけられて、悩んでいるのは、私だけじゃないんだ」と気づきがあって、それが力になっていった。

なんで今の若い女は、こういうこと、やらないんだろう。女も最近、下手に出世できるようになったら、男と同じように弱みを見せられなくなっているのかしら。でも弱み見せられるのが、女のいいところなのに。それさえできなくなったら、どうするのよ。

――男に弱みを見せられる女はいますけどね。

そんなの、男に付け込まれるだけだから(笑)。

――あと、女同士、SNSでチマチマとつながったりしています。

SNSが、ガス抜きになっちゃってるのよね。「いいね!」がたくさんもらえると承認欲求も満たされるし。でも、ヴァーチャルな「いいね!」では、現にたった今、誰にも子どもを預けられないとか、仕事と両立できないとか、リアルな悩みは解決しないじゃない。

――そうですよね。そこで、上野さんは、ひとつの収入源やひとつの専門性に縛られず、複数の職業を組み合わせて生きる方法を推奨されています。

私は日本企業が変わる前に、日本沈没のほうが先じゃないかと思っている。泥船から放り出されて、あっぷあっぷしながらでも生き延びようと思ったら、今のところ、複数の仕事、複数の収入源を持つほうがリアルなリスクヘッジになる。

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