3つというのは比較するのにちょうどいいようだ。しかし、比較するのが価格だけでないパターンもある。
先日、筆者はデジカメを購入しようと家電量販店に行ったが、メーカー各社が似たような機能のカメラを出しており、かなり迷った。性能と、それに見合う価格をジャッジするのは至難の業だからだ。後日、『価格の心理学』(リー・コールドウェル著)という本を読んでいて、ある部分に目が留まった。いわく、人は条件(機能)が異なる別のメーカーの商品を比較する場合は、選択に迷う。その場合は、同じメーカーのやや機能が劣るものを、さらに一つ加えると、途端に選びやすくなるというのだ。
Aメーカーのカメラと、Bメーカーのカメラがあったとし、Bのほうが性能が優れているが、その分Aよりは値段が高い。値段的にはAが優位だが、どれほどの性能が必要かジャッジが難しいと悩む客には、さらにBメーカーの前年モデル(B´)を見せるというのがその手法。同じメーカーなので、BとB´の比較は容易だ。もちろんBは、前年モデルのB´よりは値段が高い。しかし、B´の価格と比較すると、最新機種のBの今の売価は妥当に思えてくるという錯覚だ(この本では、機能が劣ったB´のほうが定価が高い場合とあるが、日本の販売店でそれはありえないので筆者なりにアレンジしたとお断りしておく)。
筆者も結局、同じメーカーの、性能が劣る機種より、一段上の、やや高いデジカメを選んでしまった。どの例にしろ、選択肢が3つある場合は、どれかがおとりということか。
迷ったら即決しない
ここまで5つの例を挙げたが、価格のジャッジはいろんな錯覚に左右される。いちばんいいのは、自分の中にぶれない金額の基準を持つことだが、それができないときは、迷ったら即決しないことだろう。
さまざまな錯覚や雑音から一度離れ、頭を平常に戻してから価格の数字だけを考えてみる。価格を相対値から絶対値に戻すわけだ。100均ショップで買いすぎたり1200円の「竹」定食を選ぶくらいは実害は少ないが、高額商品を買うときには、ぜひいったん頭の数字をリセットすることをお勧めする。
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