「大型顧客」に左右される浮かれ企業の末路 たまに大金をくれるような人は危ない
事業やサービスにとって、参入障壁が上がっていくのは、非常にオイシイことです。クレームがあっても需要さえあれば、何もしなくてもマーケットが成立するわけで、もし参入障壁が低いと、ライバルが現れて切磋琢磨しなくてはいけなくなります。それに比べると、悪評を恐れないほうがよっぽどラクだと僕は思うわけです。
しかも、世の中の人たちは、参入障壁を作ることに必死です。正攻法でそれをやろうとすると、政治家に法案を作ってもらって免許制にしたり、たくさんの研究開発費をかけて差別化するなど、すごい遠回りをしなくてはいけません。それよりは、勝手にライバルが減っていく状況でひっそりとサービスを提供し続けている道のほうが、全然いいと思うんです。
みんな一律に休ませてしまうのはいかがなものか
前回(結局のところ生き残るのは「仲のいい会社」だ)も含めて、ここまで会社が生き残るための方法を、僕なりに述べてきました。とはいえ、会社というのは、うまくいくときはうまくいくし、ダメになったら「はい、解散」というノリでちょうどいいと思っています。日本全体がそういう意識で働いていれば、伸びる産業はどんどん伸びて、衰退する産業はすぐに撤退するというサイクルになるはずです。
「パッと辞められて、パッと移れる」というマインドでいれば、個人にとっても精神的にラクだと思います。
超優秀な人が、普通の人の10倍、100倍頑張ってくれるから大丈夫だろう、と考えることもおすすめです。それをみんな一律に、「もっと休みましょう」と言ってしまうのは、単に能力のある人をしぼませてしまうだけです。その結果、国全体が生産できる価値が縮小してしまい、回りまわって全員が損をしてしまうのです。
パイが限られていて、それをいす取りゲームのように奪い合う競争を、「ゼロサムゲーム」といいます。農業や漁業であれば、ある程度のゼロサムは仕方ないでしょうが、日本でいす取りをするのではなく、その中にいる「いすを作ろうとしている人」を応援するようにしなくてはいけません。
孫正義さんや三木谷浩史さんが座っている1つのいすを奪うより、10個でも100個でもいすを増やしてくれるのであれば、それを応援して、ちゃっかり自分も座るようにしたほうが絶対にトクなわけです。自分がゼロサムゲームをしていないか、足を引っ張ることをしていないか、わが身を振り返るようにしましょう。
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