日本酒好きでも意外と知らない「酒蔵」の正体

蘊蓄100章で綴る歴史と文化と豆知識

今回のテーマは「酒蔵」です(写真:Fast&Slow/PIXTA)
モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。ちょいと一杯に役立つアレコレソレ。「蘊蓄の箪笥」をお届けしよう。
蘊蓄の箪笥とはひとつのモノとコトのストーリーを100個の引き出しに斬った知識の宝庫。モノ・マガジンで長年続く人気連載だ。今回のテーマは「酒蔵」。あっという間に身に付く、これぞ究極の知的な暇つぶし。引き出しを覗いたキミはすっかり教養人だ。

この連載の一覧はこちら

01. 全国に存在する酒蔵の総数はおよそ1500軒

02. 日本酒の原型となるものは、縄文時代に大陸から米が伝来した時期に発祥したものと考えられている

03. 古代の酒は、収穫祭や豊穣祈願を行なう際、神に捧げるための「神酒」であった

04. 神社で始まった酒造りの場は、やがて神社を統べる宮中へ移り「宮中酒」として発展する

05. 飛鳥時代後期には朝廷のための酒の醸造体制が整えられ宮内省の造酒司に酒部という部署が設けられた

06. 酒部は今の杜氏の役割をもつ醸造技術者と考えられる

07. 平安時代に編纂された『延喜式』には「白酒」「黒酒」など宮中での酒の造り方が詳細に記録されている

08. 平安時代には神社仏閣で造られる「僧坊酒」が市井にも広まり、商家が「町家酒」の酒造と販売を開始

09. 今の日本酒造りの基本型が完成したのは14世紀ごろ。奈良県の菩提山正暦寺において「酒母づくり」「三段仕込み」「火入れ」などの技術が確立されていた記録が残る

日本初の清酒

10. この正暦寺で造られた『菩提泉』が日本初の清酒とされている

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11. 「清酒発祥の地」の碑は、奈良市の正暦寺の他、伊丹市にある江戸期の豪商・鴻池家発祥地の2カ所に存在する

12. 室町時代には桶が誕生。それまでの甕にとってかわったことにより、日本酒の生産量が飛躍的に増加

13. 江戸時代までは科学的再現性のない酵母に頼る手探りの酒造りが行なわれていた。日本酒造りの原理が解明されたのは明治維新後の西洋近代科学の導入による

14. 明治政府は1906年醸造協会を設立。酒造りに最適な酵母を探し純粋培養、全国の酒蔵に配る仕組を生み出した

15. 協会酵母第1号に選ばれたのは灘の『櫻正宗』酒母から分離された酵母

16. 協会酵母第2号は伏見の『月桂冠』から分離された

17. 昭和初期、6号酵母として採取された秋田の『新政』が主流になると、それ以前の1号~5号は廃番となった

18. 最もよく使用されているのが7号酵母。『真澄』の醸造元・長野県宮坂醸造の蔵内から分離された酵母

19. 7号と並びよく使用される9号酵母は熊本県酒造研究所から分離された酵母

20. 長野県の「アルプス酵母」、青森県の「まほろば酵母」、広島県の「せとうち21」など都道府県が開発した酵母もある

次ページ独自の酵母を培養する蔵も増えている
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