日本酒好きでも意外と知らない「酒蔵」の正体 蘊蓄100章で綴る歴史と文化と豆知識

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61. 岩国市の旭酒造は、杜氏の持つ知識をすべてデータ化し、データ管理による酒造りを実現、遠心分離システムの導入など、常識を覆す最先端の取組を行なっている酒蔵

62. その旭酒造の銘酒『獺祭』は、安倍首相によるトップセールスや『新世紀エヴァンゲリオン』の劇中で葛城ミサトが愛飲するシーンで人気に火がついた

「獺」はカワウソのこと(写真:花火/PIXTA)

63. 「獺祭」の酒名は、正岡子規の別号「獺祭書屋主人」と、蔵の地名の玖珂郡周東町獺越の「獺」をかけて命名。「獺」はカワウソのこと

64. 京都市の松尾大社は室町時代に「亀の井」と呼ばる湧き水が湧いたことから酒造りの神様として信仰される

65. 埼玉の清瀧酒造の蔵元見学コースは利き酒と食事を宴会スタイルで楽しめるとあり、リピーター続出の人気ぶり

日本初にして唯一の外国人杜氏

66. 天保13年創業の木下酒造は、日本初にして唯一の外国人杜氏フィリップ・ハーパーが率いる酒蔵

67. 杜氏としてのハーパーは江戸時代の製法で造る超甘口『Time Machine88』や『アイスブレーカー』など新商品を送り出している

68. 2015年の映画『カンパイ! 世界が恋する日本酒』はハーパーをはじめ、日本酒に魅せられた米国人ジャーナリストらの活動に密着し記録したドキュメンタリー

69. 映画『一献の系譜』は石川県の能登杜氏の酒造りと暮らしを記録したドキュメンタリー

70. 海外でも外国人醸造家によって日本酒の技法や酵母を使った酒造りは各地で行なわれている。ただし地理的表示の規制により「日本酒」を名乗ることはできない

71. ノルウェーではクラフトビールのヌウグネ・エウ社がヨーロッパ初となる酒蔵を開設、『裸島』ブランドを生産

72. スペインでもピレネー山脈の麓のトイセント村に建てられた酒蔵で『絹の雫』というSAKEが造られている

73. 日本酒の年度は7月1日に始まり6月30日に終わる。これを醸造年度(BY=Brewery Year)と呼ぶ

74. 「呑み切り」は貯蔵タンクの呑み口を開けて酒の品質チェックを行なう、蔵元にとって重要な年中行事のひとつ

75. この呑み切りには鑑定官として酒類の分析や酒造りの技術支援をする国税局の職員が立ち合うのが通例

76. 戦前の昭和15年頃には7000蔵の酒蔵が存在していた

77. 終戦時にその約半数以下に減った酒蔵は徐々に復活し、昭和30年に戦後のピーク4021蔵を数えた

78. 酒蔵数は昭和30年のピーク時からは減少の一途で、その後約50年の間、年に平均43軒減少している

79. 酒税法により、清酒の酒造免許を取得するためには年間60キロリットルの製造見込み量が必要

80. 新規で酒造免許を取得し蔵を立ち上げる例はほぼないに等しく、酒蔵の数は減る一方となっている

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