日本酒好きでも意外と知らない「酒蔵」の正体 蘊蓄100章で綴る歴史と文化と豆知識

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21. 蔵に棲みついた「家付き」の酵母を使用したり、独自の酵母を培養する蔵も増えている

22. 戦時中、日本酒の醪に醸造アルコールを添加する酒造法が発明され、以後長くアルコール添加酒の時代が続く

23. 1960年代後半に純米酒の復活に挑んだのが埼玉の「神亀」。1987年には日本初の全量純米酒製造酒蔵となった

「日本三大酒処」は

24. 「日本三大酒処」は、京都の伏見、神戸の灘、東広島の西条

25. 灘五郷は、神戸市、西宮市の西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷の5地域からなる日本一の生産量を誇る酒処

26. 魚崎郷の櫻正宗六代目当主山邑太左衛門は酒の仕込み水として全国的に知られる「宮水」の発見者とされている

27. 灘の酒は江戸時代、大阪湾から千石船で江戸に運ばれ最盛期には江戸の酒の需要の8割を供給した

28. 灘の酒は、江戸っ子に上方からの「下り酒」として愛された。「江戸に下らないお酒」は評価の低いものとされ「くだらない」の語源ともいわれる

29. 現存する最も歴史の古い酒蔵は茨城県の須藤本家。創業は平安時代の1141年(永治元年)

30. 次いで秋田県の飛良泉本舗。創業1487年

31. 神戸市東灘区の剣菱酒造は1505年創業。日本で初めて酒にブランド名を採用

酒蔵のシンボルとして軒先に吊るされる酒林(写真:otamoto17/PIXTA)

32. 酒蔵のシンボルとして軒先に吊るされる酒林(杉玉)は、新酒ができたことを知らせるもの

33. もともとは蔵人が安全醸造を願って新酒の仕込みの開始とともに杉玉を吊るしたのがはじまり

34. 奈良県の大神神社で大国主神に醸造安全を祈願する祭りの際、ご神体である神杉の葉を球状に束ねた杉玉を軒先に吊るしたのが酒林の起源といわれる

35. 「蔵元」はその蔵の代表者、いわゆるオーナー社長を指す

36. 酒蔵で酒造りに従事する人々を蔵人と呼ぶ。「杜氏」を筆頭に「頭」から「追廻」まで役割分担されている

37. 杜氏は酒蔵において酒造りの一切を指揮する総責任者

38. 頭は杜氏の指令伝達役として蔵人を直接指揮し、日常の実務を管理する

39. 麹屋は麹造りの責任者。「衛門」「大師」「麹師」などの別称でも呼ばれる

40. 酛屋は酒母を育てる担当で、麹屋に次ぐポジション

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