眞山:つまりほしい回答が得られないわけですね。では「その質問をする理由」もいっしょに伝えたほうがいいでしょう。たとえばこんな感じです。
「なぜ、御社への就職を決めたのか、教えていただきたいです。他社で同じ質問をすると、『人や雰囲気』という回答をいただくのですが、やや抽象的なために、会社選びの軸に迷っています。そこで個人的なご意見で構いませんので、他の企業でなく、御社を選んだ理由を教えていただけますか」
Aさん:ストレートに聞きたいことが伝わりますね。
眞山:面接を担当するのは、普段その会社で働いている社員。場慣れしていないと、学生がなぜその質問をするのか、想像がつかないものです。Aさんの質問の意図を理解してもらうことが重要です。
自分の考えを論理的に伝えられるか
Aさん:面接の自己PRで、志望動機を聞かない会社もありますが、何を見ているのでしょうか。
眞山:人柄や人間性が自分の会社に合うかを主に見ています。
Aさん:発言で気を付けることはありますか。
眞山:自分の考えを、会社が求めそうな人物像に、寄せる必要はありません。大事なのは、自分の考えを論理的に伝えることです。実は、面接担当者が「わが社に合う、合わない」を判断する以前に、話がわかりにくくて”お見送り”になるケースが多いのです。
Aさん:どうすれば論理的に話せるのでしょうか。
眞山:「事実」と、その背景にある「価値観」をセットで話すのです。たとえばアルバイトについて、いつどこで何をやっていたのか、事実は誰でも話せます。しかし、自分がなぜそのバイトを選んだのか、何をモチベーションにがんばり続けられたのかまで、深堀りして考えている学生は少ない。これが企業の知りたい「価値観」なのです。
Aさん:確かに私も、経験だけを400文字にまとめて、暗記して話していました。
眞山:ではAさんの価値観を言語化してみましょうか。今やっているアルバイトと、なぜ選んだのかを教えてください。
Aさん:はい。私はアパレルの店舗で、アルバイトをしています。選んだ理由は通勤のしやすさと時給です。ファッション業界やブランドに興味があったわけではありません。これまで、華やかなイメージで選び、ホテル宴会場のスタッフや高級菓子店の販売なども経験しましたが、労力と金銭の「割が合わない」と感じ、今のアルバイトに落ち着きました。
眞山:やりがいは何ですか。
Aさん:すべてを任されていることです。接客、商品整理、1日の売り上げ管理。これらを時間内に終わらせるために、早く効率的に作業しようと努めています。
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